*さよなら,ジョスパンおじさん / ル・モンド紙より

                        

ジョスパン氏 と言えば,首相を務めたこともある,フランス社会党のカリスマ的リーダー。(ただし過去形。)
彼は,前回(2002)の大統領選の第一回投票で極右ル・ペン氏にまさかの敗北,その直後に劇的な政界引退宣言をしたことでも話題に。イル・ド・レ(レ島)の別荘でのんびり隠居生活を送っているかと思いきや,なんと今回の大統領選に意欲まんまん,さっさと前言撤回。ところがいかんせん,同党セゴレーヌ・ロワイヤル の驚異的な人気の前に,決断の時が来たようです。


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Le choix de Jospin 』 -- ジョスパンの選択 --ルモンド社説 2006/09/28付
Éditorial
| Le Monde |

もはや,リオネル・ジョスパンがフランス共和国の大統領選に3度目の出馬を果たす可能性はなくなった。去る6月28日,出馬の可能性を匂わせたかつての首相は,世論の寵児・セゴレーヌ・ロワイヤルの成功を妨げるべく政界に復帰するかと思われたが,出馬への断念は高くついたようだ。『今回の決断は苦しいものだった』と,ジョスパン氏は社会党支持者へ宛てた文書の中で明かしている。彼は,社会党を”分裂させない”ための決断だった,と強調する。彼はそうすることによって,我々を感銘させずにはいられない,その威厳と勇ましさという刻印を残して政界を去ってゆくのだ。

社会党の元首相は,最初から自らの出馬に厳密な条件を付けていた。『 社会党,左派,国全体で最も支持を集める 』ことである。3ヶ月にわたる潜在的な選挙活動の果てに,メディアへの度重なる露出も空しく,ジョスパン氏は党内,左派,そして世論で(以前のような)支持を集めることが出来ないことを悟った。フランス国民は,2002年4月の第一回投票(* 訳注・大統領選の)で自分たちが排除した者を再びエリゼ宮(* 訳注①)へ送り出す気持ちにはなれなかったのだ。社会党がジョスパンを拒絶すればするほど,彼は救世者としての使命を自らに課し,その結果,マダム・ロワイヤルが20年来の敵であるロラン・ファビウス(---15ヶ月前,ジョスパンはファビウスがEU憲法批准にノンと唱えたことを激しく非難している---)と手を組むことをやっとのことで阻止するまでに至ったのだ。

ジョスパン氏が1997年から2002年まで首相を務めた間にポワトゥー・シャラント県知事の座に就いたのが,ロワイヤル女史だ。ジョスパンは,ロワイヤルが『 政治に取り組む姿勢,市民との関係,社会党へのあり方 』というあらゆる点で彼と相反する観念を持つが故に,あたかも彼女が招かれざる客であり侵略者であるかのように”アンチ・セゴリズム”(* 訳注②)を最後まで貫き通した。ゆえにジョスパン氏の出馬は,”世論の名のもとに,社会党へかかる圧力”が合わさった結果だと見られていた。ただひとつ,4年の間に社会党が変わった,という点を除けば,であるが。

だからこそ,ジョスパン氏が『 マダム・ロワイヤルには投票しない 』と明言したのは,驚くには値しない。それでもロワイヤル女史は,3人(と予想される)のチャレンジャー,すなわちロラン・ファビウス,ドミニク・ストロス=カン,ジャック・ラング(* 追記: ジャック・ラングは結局,出願締切日直前に出馬を断念した)と競い合うことでますます強力になり,もし彼女を支持する動きが更に加速するならば,第二回投票なしに当選することさえ可能だ。ジョスパン氏はそのメッセージの中で,党内選挙で最終的に選ばれる候補者は『 全員に支持される候補者 』となるだろう,と強調している。自らの”立候補”という障害を取り除くことによって,かつての首相の言葉は議論の中で再び耳を傾ける価値を帯び,その意見は再び尊重されることになるだろう。

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 キーワード
①エリゼ宮・・・フランスの大統領府。フレンチ版ホワイトハウス。
②アンチ・セゴリズム・・・反セゴレーヌ・ロワイヤル派。ロワイヤル女史を支持する人のことを,セゴリストまたはロワイヤリスト・・・と,仏メディアが勝手に名付けてます。ついでにどーでもいい知識として,ニコラ・サルコジ内相を支持する人はサルコジスト,シラク大統領派はシラキアン,ドヴィルパン首相派はヴィルピニスト。

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ちなみに,社会党の大統領候補としてイチバン人気のセゴレーヌ・ロワイヤルさんですが,ちょうど昨日,実の弟がレインボー・ウォリアー号(Rainbow Warrior)事件に関与?,という疑惑が急浮上。この事件は1985年,グリーンピースの船レインボー・ウォリアー号を,フランスの特殊部隊(GSPC)が沈没させ,フォトグラファーが死亡。当時の政界を揺るがせた一大スキャンダル。折しもロワイヤル氏が大統領選出馬を表明した翌日に暴露された情報だけに,ロワイヤル氏も怒りと当惑を隠せない様子。。。無傷で大統領選に出馬するのが,いかに難しいか・・・と思わずにはいられませんね。。。

8 Comments

shikahiko  

大統領選出馬というのは、どこの国でも大変なことだよね。
しかし、対抗馬に日本でも名の知れた人はいないよね。
国際的な知名度、影響力はどうなんだろう?

2006/10/08 (Sun) 11:35 | EDIT | REPLY |   

bebepiupiu*  

i-257 to: shikahikoさん

敏彦さん,こんばんは!

確かに対抗馬のメンバーは,日本のメディアではほとんど報道されていませんよね。
ファビウスはかつてのミッテラン政権下で若くして首相を務めましたが,
日本での知名度って,どうなんでしょう・・・??

日本のメディアもアメリカばかりじゃなく,
ヨーロッパの政治・社会にも,もっと目を向けてほしいです~i-238

2006/10/09 (Mon) 23:26 | EDIT | REPLY |   

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2006/10/11 (Wed) 21:46 | EDIT | REPLY |   

bebepiupiu*  

i-77 to: Eさま

Eさま,はじめまして。(・・・かな?)
コメントありがとうございますi-265

じ・・・実は,
せっかくコメントくださったのに本当にお恥ずかしいのですけど
『”サルコ・フー?”の日本メディア,”ロワイヤル・・・?”ではないかと・・・』
の箇所の意味が,よく分からなくて・・・(汗)
バカな管理人にも分かるように,もう一度教えてくださると
とてもうれしいです。
ほんとにごめんなさい。。。
安倍政権のくだり,同感です^-^

2006/10/11 (Wed) 23:11 | EDIT | REPLY |   

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2006/10/15 (Sun) 07:45 | EDIT | REPLY |   

bebepiupiu*  

i-274 to: Eさま

ありがとうございました!分かりました~。
お手数おかけして,ほんとうに申し訳ありません・・・。

サルコジが2007年に大統領に選ばれたら,
日本のメディアはようやく,あたふたとサルコジを紹介し始めるのでしょうか?
ル・モンドやリベラシオンは日本の政治にも相当精通した記事を書いていますが,
日本メディアはフランスの政治を紹介するのに怠慢ですよね。
いつまでも,メディアに作り上げられた『幻想のフランス』を
紹介している場合じゃない気がします。。。i-230

2006/10/16 (Mon) 21:50 | EDIT | REPLY |   

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2006/10/16 (Mon) 22:30 | EDIT | REPLY |   

bebepiupiu*  

i-40 to: Eさま

Eさま,いろいろ教えてくださってありがとうございます!

イラクでの日本人人質についてのル・モンドの記事,
実は読んでなくて・・・。
す,すみません・・・勉強不足で。。。
(内容はなんとなく見当はつきますが・・・i-229

日本の情報をつかんでいるフランスの政党,と言えば,
F.N.はけっこう精通してそうですよね。
いろんなつながりもあるようですし・・・。
うーん,でもそれは,日本にとってはいたって不名誉なことかも。

2006/10/17 (Tue) 22:38 | EDIT | REPLY |   

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