* シラク --- 時代錯誤の大統領とフランスの凋落?/ リベラシオン紙より

                        
                          

次期大統領候補 ニコラ・サルコジやセゴレーヌ・ロワイヤルを前に,長年フランス政界に君臨したシラク現大統領の威光も,いまや風前のともしび。 フランスでは,ここぞとばかりにシラクを糾弾する本の新刊ラッシュ。(←ちょっとかわいそう・・・)うつろいやすいのはヒトの心もメディアの寵愛も同じこと。今日は,リベラシオン紙の社説をご紹介します:

『 ANACHRONIQUE 』 -- 時代錯誤 --
J.M.THENARD 2006年9月20日/リベラシオン社説(外交)
セゴレーヌ・ロワイヤルとニコラ・サルコジの大統領選出馬が関心を集める背後には,シラク大統領への弾劾が潜んでいる。希薄な言葉に彩られた,ネオクラシック(新古典主義的)で近づきがたく,冷ややかなシラク政権。フランス国民の日常生活よりも,国際市場に力を注いだシラク。しかしフランスは,もはやその名声を失った。世界勢力の中で,フランスはかつてのように重要な地位を占めない。世界の勢力地図が塗り替えられる中,フランスはその影響力の低下を自覚せざるを得ないのだ。

シラクは,高慢で誇り高きフランスという,ド・ゴール=ミッテラン神話を固持しようとした。フランスが国連で拒否権を振りかざした時でさえ,アメリカの同盟国であるこの国は何も妨げられなかった。中近東問題では補足的な役割に甘んじ,レバノンではUNIFIL(* 訳注①)の指揮についてイタリアから叱咤される始末だ。フランスの影響力はアフリカでは低下し,コートジボワールでの対立でそれは最も顕著に露呈され,アジアでは僅少だ。ヨーロッパにおいては,フランスは自らのパロディーになり下がった。傲慢で,EUの新参国には教訓を垂れるくせに,自分の国ではEU憲法を可決させることさえできない。(しかも,EU憲法の提案者のひとりはフランス人(* 訳注② )である。)そのエリート転落劇は,フランス外務省のトップが,華やかな活躍よりも失言が目立つ,政治的にも影の薄い大臣(* 訳注③)に占められていることに象徴される。

だからこそ,ロワイヤルとサルコジは時代錯誤の大統領支配を一新するために到来したのだ。シラクは世界市場で重要な地位を占めているようなに見せかけているが,実はそうでない。サルコジは非常に急進的で,最強国(* 訳注: アメリカのこと )に進んで追従するのを厭わない。しかし彼は,社会党のライバル(* 訳注: セゴレーヌ・ロワイヤルのこと )と同様,政治がいまだ介入する余地があり,右派と左派の対立が有意義に作用する諸問題に対し,具体的で親しみのある政策を約束している。いわば慎み深いフランスとして,その孤独な栄華の終末を受け入れるのだ。それでこそ,未来への唯一の約束としてヨーロッパを引き受けることができるのだから。

* * * キーワード * * *
①UNIFIL・・・国連レバノン暫定軍。フランス語では FINUL ( Force intérimaire des Nations Unies au Liban )。レバノン南部からのイスラエル軍撤退と和平と安全の定着のため,1978年,安保理により創設。
②EU憲法の草案を提出したフランス人・・・もとフランス大統領 ヴァレリー・ジスカール・デスタンのこと。彼は初代首相にシラクを任命(1974年)するが,その後両者の関係は悪化し,シラクは首相を辞任する。
③影の薄い外務大臣・・・フィリップ・ドゥスト=ブラジー現外務大臣のこと。お医者さん(心臓病専門医)出身。ルルドの市長選挙に当選して政界入りし,EU 議員,厚生大臣・・・と続き,2005年ドヴィルパン内閣の下,まさかの花形・外務大臣に。先任のミシェル・バルニエを更迭してまで,よりによってナゼこのヒトを?・・・と,フランス中を煙に巻いた不思議な人事でした。おっちょこちょい(?)な性格が災いして,いまやマリオネット政治風刺番組(ギニョール)の人気者に。

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痛烈かつ正確な自己批判。お見事です。
日本ではメジャーな新聞紙上で,自国の政治をここまで冷静に批判する記事はあまり見かけませんよね。きっと今の日本の雰囲気がそれを許さないのかな? 自虐的思考だとか言われそう。。。

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