* 大統領候補サルコジは内務大臣を辞職すべき。 (ルモンド社説より)


今日はちょっとさかのぼりますが,ル・モンドの記事から。『 サルコジが大統領選に立候補しながら内務大臣の職に留まっている』ことの是非について,です。サルコジびいきのル・モンドが彼を(しかも社説で)批判するのは珍しいなあ,と思ったものだけど,これはメディアがおおむね一致した意見であることの表れかもしれませんね。


政治警察?/ Police Politique? 』 ル・モンド社説より ( 2007/01/25 付 )
フランスでは,公式には政治警察はもはや存在しない。よって,総合情報局(RG)( * 訳注① )はもはや政党を調査したりはしないはずだ。それにも関わらず,毎回大統領選が行われる度に情報局が幅を利かせている。ル・カナール・アンシェネ紙( * 訳注② )は1月24日付の記事で 『 内務大臣(サルコジ)の指示により,情報局がブリュノ・ルベル(フランス・グリーンピースの元所長であり,現在は,セゴレーヌ・ロワイヤルの環境問題顧問 )を調査していた 』と暴露した。ニコラ・サルコジは批判に対し,『 馬鹿げたことだ 』と一蹴した。しかし,この事件は大きな波紋を呼び,1月25日,ロワイヤル女史がジャック・シラク大統領に対し,健全な選挙活動を保証するよう要請する事態となった。

サルコジ氏はこの状況を放置し,逃げ口上に甘んじている場合ではない。問題は簡単だ:極右から極左まであらゆる機関を調べ上げ,ずいぶん昔からグリーンピース団体に固執し,”対立”や”暴力”の嫌疑さえかけられている情報局は,果たしてロワイヤル女史の周辺を詮索していたのか?もしそうなら,調査は,あるひとりの公務員の献身的熱意の結果なのか?それとも,内務大臣の指示によるものなのか?---分かりやすく言おう: 情報局は本当に過去のやり方と”断絶”したのだろうか?それとも,内相が訪問する場所をあらかじめ調査する権限を持つ情報局は,あいかわらず政治警察として活動しているのだろうか?

去る2005年6月,サルコジ氏は内務省に舞い戻るにあたり,クリアストリーム事件に言及して,”私を陥れようとする策略を内務省の側から阻止するつもりだ”と述べた。( → * 詳細記事 )『 私は内務省にいた方が,より強固に守ってもらえる。150人の党員の中にいるよりも,よっぽど効果的だ。』と,内閣のナンバー2( * 訳注③ )は言ったのだ。こうして彼は,政治目的のためならば,内務省の活動が公共の自由と法治国家を犯しうることを自ら裏付けたのである。

この事件により,サルコジ氏が内務省に留まることの是非が改めて問われることになろう。選挙を実施し,公平な選挙活動を保証する立場にある大臣が,同時に選挙候補者であることが健全でないのは周知の事実だ。さらに言えば,彼が警察の長(内務大臣)であるのは,民主主義的ルールの観点から見ても,ますますもって望ましくない。フランソワ・オランド( * 訳注④ )はこの機会を逃さずサルコジ内相を糾弾し,『 あらゆる不信を抱かせ,あらゆる裏工作を疑わせる類の混沌 』を告発した。サルコジ氏は,自ら具現してみせるという民主主義と同じくらい”非の打ち所のない”者になりたいのなら,これ以上際限ない疑念を招かぬよう,そして自らの利益のためにも,早々に内務省を去るべきであろう。
*   *   *   *   *   *   *   *
 キーワード & 訳注 
*①総合情報局(RG)
・・・正式にはDC RG。日本の公安警察のようなもの。RGの管轄は,もちろんサルコジが大臣を務める内務省です。
*②ル・カナール・アンシェネ紙
・・・『 鎖につながれたアヒル 』というイミの,政治風刺画を中心としたフランスの週刊誌。水曜日には,この新聞をメトロで読んでいるサラリーマンが多いですね。ここの風刺画は,かなりキョーレツというか,心臓が強くないと読めないかも?ここに比べたら,マリオネット政治風刺番組(ギニョール)なんてかわいいものです。思想的にはもともとは左派だけど,とにかく何でもかんでも叩いて笑い飛ばすので,ほぼ中立と言っていいかも。
*③内閣ナンバー2
・・・内閣ナンバー2は内務大臣。ちなみに内閣ナンバー1は今やすっかり影が薄くなってしまったけれど,首相ドミニク・ド・ヴィルパンです。
*④フランソワ・オランド
・・・フランス社会党第一秘書(党首)。社会党が擁立する大統領候補セゴレーヌ・ロワイヤルとは事実上の夫婦(フランスでは結婚という形にこだわらないカップルが多い)。一見,頼りなさそうな外見ながら(←すみません~),ツワモノ・個性派ぞろいの社会党大物政治家たちを独自の手腕で束ねる。温厚でユーモラスな性格で知られ,党内の人望も厚い。実は,社会党のカリスマ・元首相のリヨネル・ジョスパンよりも党首のキャリアは長い。ロワイヤルはかつてTV番組で 『 彼はいつもわたしの背中を押してくれる。4人目の子供を出産したばかりの時も,今(地方選に)出馬しなければ君は一生後悔するよ,と言ってくれたの。』・・・もしかしてこのヒトって,現代フランスの『 理想の夫 』像かも??

2 Comments

ちぇぶ  

サルコジ氏の黒い影は払拭できなさそうですね~@@;

2007/03/07 (Wed) 11:56 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-275 to: ちぇぶさん

ちぇぶさん,いつもありがとうございます~。

サルコジさんって,きっと,
怒らせたらかなりコワイ人だと思います・・・e-277

フランスの政界もイロイロありますよねi-229

2007/03/07 (Wed) 23:43 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment

1 Trackbacks

Click to send a trackback(FC2 User)
この記事へのトラックバック
  •  新聞がためになる
  • Hubert Beuve-M?ry (1944年-1969年) Jacques Fauvet (1969年-1982年) Andr? Laurens (1982年-1985年) Andr? Fontaine (1985年-1991年) Jacques Lesourne (1991年-1994年) Jean-Marie Colombani (1994年-現在)・有料新聞は今後どうなるのだろうか・自転車選手オスカル・ペレ
  • 2007.04.09 (Mon) 20:43 | 新聞がためになる