* サルコジ氏,フランス大統領に / 2007フランス大統領選,決選投票結果。

photo : © www.aids.org
 
Nicolas SARKOZY-53,06%  Ségolène ROYAL-46,94%

すでにご存知のように,シラク大統領の後を継ぐのは,現政府(シラク政権)との”断絶”を掲げるニコラ・サルコジ元内相に。日本の多くのメディアでは『 サルコジ圧勝! 』と報道しているけれど,この数字をどう見るか意見が分かれるところです。ロワイヤルさんがあと4ポイント獲得していれば同点だったわけだし,サルコジは与党(しかも党首),そしてつい最近まで内務大臣だったわけですから,非常に恵まれた状況下での大統領選だったといえるでしょう。サルコジ氏は今回の勝利に酔うことなく,国民の半数近くが最大野党のロワイヤルを支持した事実を忘れずに,これからの政治に生かしてほしいですね。

そして注目の人事といえば,やはり首相。(首相の任命権は大統領にあります。)サルコジの右腕,フランソワ・フィヨンが最有力候補です。現教育相のフィヨンは,サルコジに欠けているものを全て持ち合わせている(かのようにみえる)貴重な人材。つまり,おだやかで品のある口調,常に冷静で控えめな態度,寛容な人柄etc...。(今わたし,サルコジさんにすごく失礼なこと言ってるような・・・)ただ,今回左派(または中道派)に投票した有権者を宥めるためには,内閣の中で”もっとも左”と言われ,親しみやすい人柄とモジャモジャ頭で人気の労働雇用大臣,ジャン=ルイ・ボルローなんてどうでしょ?・・・などと,憶測は飛び交うばかり。ちなみにボルローさんはかつて,バイルのフランス民主連合(UDF/中道右派)のスポークスマンだったことも。奥様はフランスの人気ニュース番組の週末キャスター,ベアトリス・ショーンベルグ。(さすがに大統領選の間は番組を降板していました。)

さて,決勝投票でもっとも注目されていたのが,第一回投票で『 第3男 』フランソワ・バイルを支持した18%もの有権者の票のゆくえ。バイルさん自身は,例のサルコジVS.ロワイヤルの公開討論の直後,『 サルコジには投票しない 』とだけ表明。じゃあロワイヤルに有利?と思いきや,決選投票ではバイル支持者の39%がロワイヤルに,32%がサルコジに,そして棄権または白紙投票が29%にのぼることが判明。(みんな,バイルの言うことなんか聞いてやしないし!)それはつまり,『 (第一回投票で)バイルに投票した有権者=バイル支持者 』ではなかったから。多くのジャーナリストが分析していたとおり,第一回投票でバイルに投じられたのは浮動票に過ぎず,決選投票では自らの判断で投票または棄権した,ということですね。

そしてリベラシオン紙が特に注目しているのが,今回のパリでの投票結果
     パリ全体            20区             16区

  
50,19%
 49,81%   35,37%  64,63%   80,81% 19,19%


まず,パリ全体ではサルコジ,ロワイヤルは接戦。ほぼ同率です。そしてパリに土地勘のある方にはお分かりかと思いますが,パリの中でも庶民的で移民系などさまざま人種の人たちが住んでいる20区,そしてその対極にあるパリ随一の高級住宅街16区とでは,支持する候補者の違いが顕著ですね。社会の格差拡大を恐れない人たちはサルコジ支持,ということでしょうか。

さて,苦い敗北を味わった社会党陣営。ロワイヤルはすでに5年後の大統領選を視野に入れているけれど,党内はすでに分裂のきざし。今回社会党内の大統領候補公認選出でロワイヤルに敗れた大物政治家,DSKことドミニク・ストロス=カン(元財務大臣)とロラン・ファビウス(元首相)のふたりが,今度こそ彼女に取って代わろうと虎視眈々と爪を研いでいます。今回は裏方に徹したロワイヤルのダンナ様であり社会党党首であるフランソワ・オランドは,妻を守りつつも社会党内の分裂・内紛を防ぐことができるでしょうか?

大統領選終了直後からさっそくフランス各地で暴動が起こったり,と波乱含みの幕開けですけが,当のサルコジさんは奥さまと子供を連れて,さっさとプライベートジェット機でマルタ島にラブラブ海上バカンスに出かけてしまいました。(シラク大統領の最後の公式行事となった,第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日の式典パレードも放ったらかしての豪遊に,左派,中道派から批判続出。)そういえば,”サルコジ夫人”セシリアさんは,お互いの不倫を実らせサルコジと結婚後,夫のスーパーバイザーとして政界で華やかに活躍していたかと思いきや,恋人と駆け落ちしたり,夫のもとに戻ってきたり・・・と恋多き女性としても有名。今回も夫の大統領選中にたびたび行方をくらませて,サルコジ陣営は相当やきもきしていたみたいです。でも,彼女の『 わが道をゆく!』的なところ,わたしは好きだな。『 ファーストレディーなんてまっぴら! 』と言っているそうだけど,サルコジは奥さまにベタぼれ。今ごろ地中海沖にぷかぷか浮かぶラグジュアリーなクルーザー上で,天下のセシリアを説得中?

・・・というわけで,多くの充実した議論が交わされた,長く情熱的なフランス大統領選もとうとう終焉。今後5年間のフランスの未来は,『 自由競争こそが停滞したフランス経済に活力を与える 』と信じる親米派サルコジ氏の手に託されました。弱者にやさしい福祉国家であり,外から来る者にも寛容であると同時に,経済の停滞,失業率の上昇,移民問題,そして治安の悪化に苦しむ現代フランス。そんなフランスが新大統領の手でどう変わってゆくのか,このブログでも静かに見守ってゆきたいと思います。

6 Comments

ちぇぶ  

フランス大統領選終わりましたね。
日本のメディアでこんなにニュースになるとは思いませんでした。
これまで気にしたことが無かったせいでしょうか。
暴動おこるのではないかな。。。なんて思ってたらほんとに。
サルコジさんにはロワイヤルさんの分まで頑張ってほしいですね。

サルコジ婦人すごい!
フランス女性はすてきだなぁ。

2007/05/09 (Wed) 03:02 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-259 to : ちぇぶさん

ちぇぶさん,読んでくださってありがとうございますi-236

今回のフランス大統領選は,海外でもかなり注目されていたみたいですね!
なんといってもシラク大統領が12年も君臨していたフランスで,
シラクの政敵が勝利したわけですし。

セシリア夫人,すごいですよね~!
日本ではちょっと考えられないですけどe-277
恋人と駆け落ちしちゃっても,あいかわらずセシリアLOVEi-80なサルコジも,
ちょっといじらしいかも・・・(笑)。

2007/05/09 (Wed) 22:33 | EDIT | REPLY |   

chezidane  

はーい、大統領、決まりましたね。
bébépiupiuさんも、ご苦労様!
お陰様で、リアルタイムで正確で
良いソースからの情報を知ることが出来て
勉強になりました!

日本の新聞もいろいろ読みましたが、
「圧勝」ではなく「大勝」としている新聞を
信頼しています。^^

一つ、面白い記事を読みました。
それは、高齢者の投票行動について。
サルコは五月革命以前の高齢者に
圧倒的に支持されているとのこと。
なるほど。
人口で言えば、高齢者、フランスもとても多い。

ところで、うちの主人に
「君のことをオランド書記長みたいに出来た人、
と言ってくれた人がいるよ」
と言ったら、主人曰く
「オランド書記長って、オレみたいに出来た人なの?^^」
ですと、、。
silence....

2007/05/10 (Thu) 08:50 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-258 to : chezidaneさん

chezidaneさん,こんばんは!

いえいえ,リアルタイムどころか
カメさんの更新速度で申しわけないです・・・。

そんなブログでも,
すこしでも参考になっているのでしたら,とてもうれしいですi-265

わたし自身,ここに訳を紹介することで,
フランス語の記事をいい加減に流し読みせずに
頭の中で”日本語に置き換える”,という新鮮な作業を楽しんでます^-^*
(もとい,半分は苦しんでますが・・・笑)

『 大勝 』,なるほど,それは納得できますね!

五月革命!
・・・五月革命以前の人,というのは,五月革命世代のことでしょうか?
興味深いデータをありがとうございます。
お年を召した方は,なぜサルコジを支持したのでしょう?
単に右派,ということなのか,
それともサルコジの峻厳な移民対策と関係があるのか・・・うむむi-230

chezidaneさんの旦那サマったら,さすがですねi-277
そういえば,オランドさんもユーモアが大好きですよねぇ!
(でも,ジョスパンとか古参の政治家達に”ユーモアが過ぎる”と怒られて以来,
最近はあまり彼のユーモアが聞けなくてざんねん~。)

2007/05/10 (Thu) 22:45 | EDIT | REPLY |   

ヒコ  

結果は見えていたとはいえ、やっぱり辛いな~。
でも、日本と違って労働組合が健在で、市民意識も高い。
競争原理を取り入れながらも、
「アメリカ的なるもに」に取り込まれない良識を期待したいな~。
これからの成り行きを見守ります。

2007/05/11 (Fri) 00:54 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-275 to : ヒコさん

ヒコさん,こんばんは!

ほんと,そうですね。
フランス国民の選択がサルコジさんだったなんて
わたしもショックでした。。。i-227

フランスでは実は労働組合に加入する人は減る一方なのですけど,
それでもデモやストなどさまざまな手段を用いて
労働者の権利を守ろうと努力していますね。

それにしても,一体,今後5年間のうちにフランスは
サルコジによってどういう変化を遂げるのでしょう・・・。
しっかりと見つめてゆきたいですねi-265

2007/05/12 (Sat) 01:25 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment