* 大統領選敗北の清算---フランス社会党の内紛。

photo by © Yahoo!France

『 ラブラブ?それとも・・・ 』 ( 社会党の名物カップル,ロワイヤル&オランド夫妻 )

『 毎朝,新聞を広げては”今日は社会党議員の中の誰がわたしを批判しているのかしら”と,自問していました 』と,ロワイヤルが大統領選中の同僚(大物)政治家たちの非協力的な態度を批判すれば,その大物政治家(の一人)であるドミニク・ストロス=カンは,ロワイヤルの大統領選での演説は『 現実からかけ離れた 』ものであり,『 フランス国民が耳を傾けたくなるような解決策を示せず 』,さらに『 敗北の最大の責任はフランソワ・オランド書記長(党首)にある 』と言ってはばからない---。

先週の土曜日,仏メディアが見守る中,社会党の大物政治家たちが続々と党集会に集結。セゴレーヌ・ロワイヤルが党公認の大統領候補に選ばれたのをはじめから快く思っていなかった大御所政治家”エレファント”たちの,反撃の火ぶたが切って落とされました。昨日,シラク前大統領からサルコジ氏に大統領の権限が移譲されましたが,それは次回でお話するとして,今日は前回に引き続き,この話題から。


*   *   *   *   *   *   *   *

 『 指令 』
リベラシオン紙 | 社説 | 2007/05/12付 | ファブリス・ルスロ著
"Mot d'ordre" Libération | Éditorial | Fabrice ROUSSELOT

復讐劇は今週末,社会党が大々的に催すパーティー( * 党集会のこと)ではなされないだろう---少なくとも公衆の面前では---。”帰ってきた”大御所政治家たちは,党の指令にさっそく反旗を翻した( * 訳注① )。おだやかに言うならば”大統領選のポスト・トラウマ”とも呼ぶべきこの状況下,次期国会議員選挙での内紛を避けるためにも,とりあえずは現在の党内対立にフタをすることにしたようだ。すなわち,党の一貫した指令のもと,社会党議員たちはカメラの前でにっこりと微笑んでみせるに違いない。だが,いかにもその場しのぎの馬鹿ていねいな笑顔に,一体誰がだまされるだろう?5月6日( 大統領選の決選投票日 ),つまり左派の敗北の日以来,社会党ではリーダーシップを糾弾する公開裁判が始まったのだ。被告席には,改革に挑んだ女性大統領候補( ロワイヤル )と,気の小さな党書記長( オランド党首 )。特に後者については,一体今までどのような戦略を練ってきたのか,と疑問に思わざるを得ない。

セゴレーヌ・ロワイヤルとフランソワ・オランド党首が夫婦である,という事実は確かに話に彩りをそえる。公私ともにカップルであるこの二人については,ル・モンド紙の女性ジャーナリスト二人が本を出版したばかり( * 訳注② )だが,その内容には学ぶところが多い。社会党カップルのプライベートな問題(推測の範囲だが)については,ここでいちいち詳細を並べ立てるつもりはない。だがこの本を読むと,大統領選の間じゅう,この象徴的なカップルの間に対立やトラブルが繰り返し起こった事を思い出さずにはいられない。ふたりに共通の戦略?そんなものは始めから存在しなかった---いや,”ほとんど”なかったと言ってよい。あったのはむしろ,一連の失態と政策内容の不一致であり,すべては両者の消し去りがたい政治的ライバル意識を窺わせるものだった。フランソワがセゴレーヌの言うことに反対したかと思えば,今度はセゴレーヌがフランソワに”身の程をわきまえなさい”と叱る。それに加えてエレファント達( * 訳注③)ときたら,絶えず二人の足をこっそり引っ張ったり,時には巧妙に足をひっかけて蹴倒そうとさえした。それを考えれば,社会党が今回の大統領選に敗北したことなど当然の結果だろう。とにかく,この(社会党内の)不協和音に終止符を打たねばならないのは明らかだ。二人または複数による政治的痴話喧嘩など,社会党には必要ないのだから。

*   *   *   *   *   *   *   *
 キーワード & 訳注 
*①大物政治家たちが反旗を翻した
・・・社会党の大物政治家(”エレファント”)たちは,ロワイヤルが党公認の大統領候補として国民的人気を獲得したことを快く思っていなかったが,少なくとも大統領選中は,党の厳命により,ロワイヤルをあからさまには非難できなかった。ところが大統領選が敗北に終わったとたん,身内の対立を危惧する党の命令に背き,さっそくロワイヤル(とオランド党首)の失態を糾弾し始め,社会党の内紛は今や誰の目にも明らかである。
*②ル・モンドの女性ジャーナリストが出版した本
・・・ル・モンド紙の有名女性ジャーナリスト,ラファエル・バケ( Raphaëlle Bacqué )とアリアンヌ・シュマン( Ariane Chemin )が5月11日に出版した『 ファム・ファタル 』のこと。--- 今回の大統領選でセゴレーヌ・ロワイヤルが,自分の党(社会党)と夫(党首)を裏切ってまでも,自らの壮大な野望を実現させようとした裏には何が隠されていたのか?ロワイヤルと夫との間に存在した驚くべきシナリオ。彼女を駆り立てた,誰も知らない心の傷。エレファント達をのけ者にし,社会党支持者を巻き込み,ふたりの夫婦関係さえも危険にさらし,すべてを賭けて戦いを挑んだロワイヤル。そして彼女の挑戦は,社会党を致命的な敗北へと導いた。---というようなことが,本の紹介に書いてありました。タイトルの『 ファム・ファタル 』は,”男を破滅させる魔性の女 ”といった意味があるのだけど,ロワイヤルが社会党(と夫)を破滅に導いた,と暗示しているのでしょうか・・・?(著者のラファケル・バケさんはフランスのTVでもお馴染みですね!)ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール紙で本の一部が読めるのですが,大統領選中,社会党の影(でもないか)の実力者ジュリアン・ドレイの目にあまる横柄な態度に,ふだんは穏やかなオランド党首が激昂する場面や,オランドとロワイヤルの愛憎相反する確執など,臨場感あふれる構成になっているようです。ロワイヤル&オランド夫妻は,『 私生活の侵害 』としてさっそく出版社を訴えています。
*③エレファントたち
・・・社会党の大御所政治家のこと。( 過去の記事にも書いていますので,参照にしてくださいね )

2 Comments

さちこ  

こんにちは。記事楽しみにしてました。社会党の分裂時間の問題ですかね?サルコも分裂を期待してか内閣の閣僚に左派から入れるとか入れないとか。。。
今、ヴァカンスで日本に里帰り中です。ヴァカンスといえば、
セゴもヴァカンス行ったんですよね。オランド一緒にいったんでしょうか?

2007/05/18 (Fri) 02:34 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-275 to : さちこさん

さちこさん,あたたかいお言葉,ありがとうございます~!
日本に一時帰国なさっているのですねi-189
日本でのヴァカンス,どうぞ満喫なさってくださいね♪

ベルナール・クシュネールさん,やっぱり入閣してしまいましたねi-230
さっそくオランドさんから社会党を除名処分されるようです・・・。
政務次官にも左派の名がちらほら・・・。
オランドさんもヴァカンスどころじゃないですねi-229

バイルのスポークスマンでUDF副議長だったエルヴェ・モラン氏も国防相ですし,
左派・中道派の切り崩し+アンチ・サルコジ派への懐柔策,なんでしょうか・・・。

2007/05/19 (Sat) 01:27 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment