*ル・モンドの女性記者によるベストセラー本は,ロワイヤル&オランド夫妻のプライバシーを侵害するか?

                      

社会党の名物カップル,セゴレーヌ・ロワイヤルとフランソワ・オランド書記長の,大統領選の裏側から私生活までを赤裸々につづった話題作 『 ラ・ファム・ファタル 』( 男を破滅に導く魔性の女,という意味)。ル・モンドの有名女性記者2人が書いたこの本は,以前の記事(キーワード欄)でもすこし紹介しましたが,さまざまな物議を醸しているようです。今日はリベラシオン紙から,2つの記事を織り交ぜて紹介します。
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『 ”ラ・ファム・ファタル” : ロワイヤル&オランド夫妻15万ユーロ請求 』

AFP | リベラシオン紙  | Libération | 2007/05/31付  |
«La femme fatale» : Royal et Hollande réclament 150.000 euros

 『 ”美しいブロンドの記者に夫が心を奪われることを彼女は心配していた” 』

リベラシオン紙 | 政治 | Libération  |  2007/05/09付  |
« Elle s'inquiète de le voir préoccupé d'une journaliste belle, blonde et vive»


訴状によると,ロワイヤル&オランド夫妻は『 ラ・ファム・ファタル 』の著者でありル・モンド紙のジャーナリストであるアリアンヌ・シュマンとラファエル・バケ,そしてアルバン・ミシェル出版社に対して,15万ユーロ(約2400万円)の損害賠償を請求した。

夫妻はまず,プライバシーの侵害として,セゴレーヌ・ロワイヤルには3万ユーロ相当,フランソワ・オランドには5万ユーロ相当の損害があったとしている。夫妻の弁護士であるジャン=ピエール・マニアール氏が提出した訴状によれば,私生活への侵害と指摘される箇所は,110ページ目,『 2005年の夏,ロワイヤルは歯並びを矯正し,あごの形を変え,より美しい笑顔になるように整形した 』という部分。

また,フランソワ・オランドが(他の女性と)恋愛関係を持ったとほのめかす箇所も指摘された。『 セゴレーヌは嫉妬によるトラブルを繰り返している。以前は,フランソワが報道関係者とつるんでは国会議事堂内をひらひらと飛び回ったり,昼食の席で記者たちに自分の魅力的な演説を長々と聞かせては時間を無駄にしていることに,セゴレーヌは腹を立てていた。ところが今度は,社会党担当として新聞社から送り込まれた,美しくいきいきしたブロンドのジャーナリストに夫が心を奪われていることを心配し始めた。”私生活と政治活動の分離”という神聖にして不可侵なルールなど,あったものではない。・・・というのは,セゴレーヌは彼女の4人のこどもの中でいちばん年長のトマを,この騒動に巻き込んだのだ。トマは編集部に電話し,この女性ジャーナリストを担当から外すよう命令した。

夫妻の長年の友人たちは,事態の深刻さを即座に悟った。彼らは,フランソワとセゴレーヌがいつも一緒にいるのを見てきたし,夫妻のそれぞれの野望と長所もよく知っていた。いつも気さくで冗談好きなフランソワ。たとえ,もめごと---家庭内の問題もふくめて---が起こっても,さらりとはぐらかし,冗談でかわしつつ,いつのまにか物事をまるく収める彼の才能。そしてセゴレーヌは夫より柔軟性に欠けるものの,いつも控えめで夫を立ていた。子供たちを厳しくしつけ,叱るのも,ほとんど彼女ひとりでやってのけた。しばしばフランソワ・オランドは自分たちのことを,”2つの自由を持つ1組の夫婦”である,と表現していた 』

そして,推測に過ぎない情報を書き立てた,としてロワイヤルに対する名誉毀損として7万ユーロの損害賠償を求めているのが,36ページ目。ロワイヤルが夫に言った言葉として,夫婦の共通の友人(編集部注:ジュリアン・ドレイのこと)が以下のように語った,とされる箇所だ。『 もしわたし(の大統領選出馬)を邪魔するために,あなたがジョスパンを候補者として擁立するつもりなら,二度と子供たちには会えないと覚悟することね 』( * 訳注① )

著者2人は水曜日に訴状を受け取っており,訴訟は数ヵ月後に開始される模様だ。『 わたしたちは,非常に不明瞭に感じられた(ロワイヤル側の)大統領選について,政治的なストーリーを書こうと思ったのです。本を書きすすめるうちに,ロワイヤルとオランドの間の政治的な対立や相違が,実は夫妻のプライベートな問題と密接に関係していることに気づいたのです 』 と,ふたりの女性著者は言う。『 社会党の第一書記(党首)と党公認の大統領候補者が夫婦である,という事実は,彼らの政治活動と私生活が切っても切り離せない関係にある,ということ。 このような状況を伝えないわけにはいかなかった 』 と反論している。
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この本の真意をめぐっては,メディアでもさまざまな憶測を呼んでおり,特に以下の疑問が指摘されています。

ロワイヤルが大統領選に立候補した動機が,あたかも他の女性に心を奪われた夫オランドへの復讐のように受け取れる。また,ロワイヤルが自分自身を解放し自由になるためには,大統領候補になる以外に方法がなかった,という印象を与える。
ロワイヤルの政治人生について書くために,彼女の私生活(とくに夫婦関係)を細部にわたるまで暴露する必要があったのか?
ロワイヤルの出馬の動機を彼女の私生活や夫婦関係に求めるのは,ロワイヤルが女性だからではないか?


著者のひとり,ラファエル・バケ女史はどちらかというと個人的に好感を持っていたけれど,本のプロモーションでテレビ番組にゲスト出演する際,上のような質問をされる度に,『 それはあなたたちの解釈であって,わたしたちはそのようなつもりで書いてはいませんよ 』と,まるで読み手に非があるかのような逃げ口上で,がっかり・・・。でも,わたしにとって非常に不可解な人物だった社会党の影の実力者ジュリアン・ドレイや,あのメガロマニアックなセレブ知識人(?)BHL(ベルナール=アンリ・レヴィ)などについても書いてあるので,”小説”としては楽しめそうだけど・・・。


 キーワード & 訳注 
*①『 ジョスパンを候補者として擁立するつもりなら 』・・・
・・・リヨネル・ジョスパン元首相は,前回2002年の大統領戦ではまさかの第一回戦敗北。( 決勝選挙にすすんだのは,シラクとル・ペン。)その直後に劇的な政界引退宣言をし,社会党支持者を嘆かせた。のんびり隠居生活をしていると思いきや。今回の大統領選前から,突然あちこちに顔を出したり意味深な発言をしたりして,出馬をにおわせていた。オランド書記長は自分の前任者でもある,社会党のかつてのカリスマ,ジョスパンの顔を立てたかったようだが,ジョスパン不在の間に国民的人気を獲得していたロワイヤルを前に,ジョスパンは土壇場で出馬を断念せざるを得なかった。

2 Comments

ちぇぶ  

うわーその本読んでみたいです!!
日本での出版はないんでしょうかねぇ@@;

訴訟の今後もきになります!!!

やっぱりそれだけ有名な夫婦になっちゃうといろいろと書かれたり言われたりするのは仕方ないような。。。

2007/06/03 (Sun) 18:33 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-275 to : ちぇぶさん

ちぇぶさん,こんばんは!

わたしも読んでみたいです~i-265
ロワイヤルさんが大統領になっていたら,
日本でも出版権の奪い合いになってたでしょうねi-277
( わたしも訳してみたいなあ・・・^-^;)

確かに,ちぇぶさんのおっしゃるとおり
ふたりが有名な夫婦だからこそ,大統領選で
ここまで注目を集めたとも言えますよね。。。
家族ぐるみで政界で活躍しているファミリーだから,
それもやむをえないのかなあ,とは思います・・・i-230

2007/06/03 (Sun) 21:30 | EDIT | REPLY |   

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