* フランス総選挙 / 与党圧勝,野党惨敗

image by © Yahoo.fr  フランス総選挙の投票所にて


もはや何も言うまい・・・と毎回思いつつ,つい言ってしまうのが管理人の悪いクセなのです。。。というわけで,以下,昨日(10日)に行われたフランス総選挙(下院選)の第一回投票結果として,France2の記事を中心に,他メディアからの情報を補足して訳しておきます。


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 『 青い旋風 』 
"UMP: la déferlante bleue" France2 総選挙特集より

1.与党圧勝

フランスの有権者は,ニコラ・サルコジの大統領選の勝利に強力な裏づけを与えた。つまり有権者は,17日(第二回投票),国会の大多数の議席を与党に贈るだろう。この与党の圧倒的勝利はすでにあらゆる世論調査によって予想されていたことであり,特に驚くべきことではない。与党とその同盟( * 新中道派NC )は大統領選と同様,国民前線( FN / 極右)の史上最悪の低迷をうまく利用し,最終的には国会577議席のうち,383から501議席を獲得するものと予想される。社会党(PS)とその同盟(左派)は60-185議席と大きく後退するだろう。しかし,この予想議席数の上限と下限の幅は大きく,(第二回投票まで)予断を許さない。そして今回の(第一回)投票で特筆すべき点は,第五共和制下においては記録的な39,6%という棄権率だ。

2.記録的な棄権率

歴代最高に近い投票率を記録した大統領選から5週間後,フランス国民の多くは日曜日に行われた総選挙の投票箱からそっぽを向いてしまった。第五共和国下,総選挙第一回投票での棄権率は今回が最も高かった。2002年の総選挙第一回投票での棄権率35,58%でさえ1958年以来最悪の数字だったのに,今回は39,6%にも達した。最も多くのフランス国民が参加した1978年の第一回投票(棄権率はたったの16,8%)からはほど遠い数字だ。577人の国会議員(下院議員)を選出することを放棄したフランス人がこれほど多かった(1800万人)ことは,過去にない。

3.大臣ら,ほぼ当選

首相を含む11人の大臣が今回の総選挙に自ら参加した。フランソワ・フィヨン首相は,“総選挙で当選できなかった大臣は即時,大臣職を辞任すべし”とあらかじめ警告していたが,自身もラ・サルト市( la Sarthe ) における第一回投票ですでに当選を果たした。首相に続き,ボルロ,モランなど各大臣も軒並み当選している。アリオ=マリ,バシュロ,ブタンら女性大臣3人は(第一回投票で当選に必要な過半数を獲得できずに)決選投票にもつれこむこととなったが,いずれにせよ当選は確実だ。だが,内閣ナンバー2のアラン・ジュペだけが,決選投票で当選できるか否か微妙なラインにいる。

4.社会党(PS),決選投票で被害のさらなる拡大を食い止められるか?

社会党は大統領選で大きな敗北を被った以上,これ以上の幻想を抱くことは許されなかった。しかし今回の総選挙での最大の目的は,これ以上の“青い旋風”(与党勝利のこと)を阻むことだった。社会党の大物政治家たちは昨夜の第一回投票開票結果を受けて,6月17日(決選投票日)には“起死回生の一撃”と“バランスのとれた権力の分配”を呼びかけた。
『 民主主義は左派の大きな力を必要としている 』と主張するのは,大統領選の不幸なファイナリスト,セゴレーヌ・ロワイヤルだ。彼女は今回の総選挙には出馬していないが,選挙運動には積極的に参加しており,社会党トップ(書記長)の座への意欲をもはや隠そうともしない。社会党の大御所達のうち,オランド党首やファビウス(元首相),エイロらは過半数には及ばなかったものの,決選投票で当選確実とみられている。反対に,大統領選でセゴレーヌ・ロワイヤルのいわゆる”側近”として活躍したモントブール(ロワイヤルの前スポークスマン),シュヴェヌマン(元内相),ビアンコ(大統領選対策チームディレクター),ジュリアン・ドレイ(同チームのスーパーバイザー他)は決選投票では苦戦を強いられる見込み。社会党の人気政治家でロワイヤルのよき理解者,ジャック・ラング元教育相の勝敗も決選投票にもつれ込んだ。

5.国民前線(FN),風前のともしび

ジャン=マリ・ルペンの大統領選での大敗ですでに予期されていたことだが,国民前線(FN)は5%以下の票しか獲得できなかった。これは1981年以来最悪のスコアであり,今回はひとりも国会議員を輩出できないだろう。FNの中で決選投票に進むことができる候補者は,マリーヌ・ルペン(ルペンの娘)ただ一人である。

6.中道派 MoDem(旧UDF)の失望

大統領選では18,57%の支持率でめざましい躍進を遂げた中道派フランソワ・バイル。彼は新党MoDem(民主運動)を結成し,今回の大統領選で大きな賭けに出た。ところが実際はたった7%の票しか集めることができず,最大でも4人の国会議員しか輩出できない見込み。今回の総選挙は『 力の不均衡を生み出し,フランス国民はそれを後悔することになるだろう 』と,バイルは言う。ちなみに彼は,“ 総選挙後さらに加速されるであろう権力の二極化(与党と社会党)に対抗する第三勢力になってみせる”という賭けをしていたのだが---。
反対に,ニコラ・サルコジと政治同盟を結んだ旧UDF(中道派)の議員たちが結成した新中道派(NC)は,与党との同盟のおかげで20数人の議席を獲得できる見込みだ。

7.フランス共産党(PCF)の衰退

フランス共産党はすでに大統領選で大敗を喫しているが,今回の総選挙で議会で党派を結成する人数には及ばないものの,それ以上の損害は食い止めることができそうだ。4%の得票率と6~15議席を獲得できる模様。緑の党は,よくて3議席にとどまるだろう。

8. 総評 / 今後の議論
 (後半 : 訳者補足)

今回の第一回投票の結果を受けて,投票方法に関する議論が再燃するのは必死だ。すなわち,国会に有権者の声をよりよく反映させるために,部分的に比例代表制を取り入れる改革案である。(以下,訳者補足:)また,従来のように総選挙を大統領選直後ではなく,一定の冷却期間を設けた後に行う,という総選挙のスケジュール調整案も有力である。なぜなら大統領選直後は,いわゆる”エタ・ド・グラス”効果( état de grâce / 新大統領が一定の期間国民から好意的に受け入れられる期間のこと)が作用し,与党は総選挙でその恩恵を享受することができるからである。

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補足情報 : フランス総選挙(下院選)の選出方法

①選挙参加リストに登録した有権者のうち25%以上の投票率で,選挙を有効とする。
②第一回投票で過半数の票を獲得した候補者が当選。
③上記で当選者が出なかった場合,上位2人または,有効投票数のうち12,5%以上の票を獲得した候補者(3人以上もあり得る)が決選投票に出場。


やっぱり小選挙区制って民主主義的じゃないなあ,と改めて思います。でも,日本と違って決選投票があるだけまだマシでしょうか?それにしても,記録的な棄権率って・・・。総選挙期間中ずっと,フランスメディアが『 与党圧勝は確実! 』なんて繰り返し報道するから,バカバカしくてみんなバカンスに行ってしまったのでは?ちなみに,,前回紹介した社会党マチュー・クラインも,なんとライバルの与党ロラン・エナールに逆転負け。勝敗はなんとか決選投票に持ち越されたけれど,限りなくいやな雰囲気。それなのにロワイヤルとオランド夫妻は,バイルのMoDemと政治同盟を結ぶか否かで対立しているし・・・。もうボロボロ。

2 Comments

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2007/06/13 (Wed) 14:58 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : EXLIBRISさん

EXLIBRISさん,おひさしぶりです。

確かにロワイヤルさんは次期書記長にやぶさかではないようですし,
左派の中では一応,国民的人気を誇る政治家ですから,
社会党のイメージのためにはそれが良策かなあ,と思います。

でも,ロワイヤルが提案していた中道派MoDemとの政治同盟は,
当のバイル本人どころか,社会党上層部までが反対決議にまわったようです・・・。

どうも社会党は,党内での足並みの不一致が目立ちますねi-230
ほんと,こんな状態では,EXLIBRISさんのおっしゃるとおり
5年後どころか10年後の大統領選まで機が熟すのを待っていたら
さすがのロワイヤルさんも老けちゃいます~i-277

2007/06/14 (Thu) 00:46 | EDIT | REPLY |   

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