*今フランス社会党で何が起こっているのか?---反ロワイヤル傾向の激化。

image by © Le Monde  社会党で派閥闘争を繰り広げるライバルたち。最後に笑うのは・・・?

ファビウス元首相    ドラノエ(パリ市長)   オランド書記長      ロワイヤル    DSK元財務大臣

さて,総選挙ではドラマチックな逆転劇を展開してみせた社会党。そして同時にロワイヤル&オランド夫妻のプライベートでの破綻公表から数日後,フランス社会党全国理事会は圧倒的多数で,党首オランド発案の動議を可決しました。それは,オランドが書記長の座を明け渡す時期を来年2008年の市町村選挙以後に延期すること。つまり,ロワイヤルが望んでいた,『 なるべく早いうちに書記長選を行い,党が擁立する大統領候補も選出する 』というプランに,社会党全体がノンを突きつけたことに。

ロワイヤルとしては,大統領選で国民の47%もの支持を集めた自身の人気が弱まらないうちに,次期大統領候補として一刻も早く5年後に備えたいところ。とくに前回の大統領選のような党内での醜い権力争いを避ける狙いもあります。また,隙あらばロワイヤルを蹴落とそうと虎視眈々と狙っている,百戦錬磨の『 エレファント 』(社会党重鎮政治家)こと,ファビウス,DSK,ドラノエ,オブリらを牽制するためにも,オランドの後継者として党を掌握したい。---そんなロワイヤルのあからさまな野望とスタンドプレイ的な行動を苦々しく思っている社会党議員たちが,反ロワイヤルの旗の下に結束・・・という奇妙な事態が起きています。

*   *   *   *   *   *   *   *

 『 社会党(PS),ロワイヤルにレッドカードを突きつける 』 
2007/06/23付
"Au conseil national du PS, Royal prend un carton rouge"
 Rue 89
( * 各章のタイトルは訳者によるものです )
( * 本文中のリンク先は,原文で指定された,Rue89によるビデオ画像に飛びます )


1.社会党,”アンチ・ロワイヤル”で一致

セゴレーヌ・ロワイヤルはあいかわらず党から離れて,個別行動を続けている。そして,社会党の彼女の“同僚”たちは,それにうまくつけ込んだ。土曜日,パリで開催された社会党理事会では,今までにないほど“アンチ・セゴレーヌ”感情が高まっていた。元大統領候補ロワイヤルが党トップ就任への野心を隠さないばかりか,“他の用事があるから”と社会党理事会をすっぽかしたことで,党の怒りは今や爆発寸前だ。ロワイヤルに対する悪口を聞きたいなら,やはり上院議員ジャン=リュック・メランションの出番だろう。その期待を裏切らず,彼はロワイヤルのドタキャンについて怒りをぶちまけた

2.フランソワ・オランド書記長の逆襲

今回の理事会は,あたかもフランソワ・オランド書記長への再任投票を行ったも同然だ。オランドは,自分に常に忠実なメンバーたちが見守る中,動議を発案した。議題は,数ヵ月後の(党大会の)日程についてだった。そう,オランドは諦めてはいなかったのだ。次回の社会党全国大会( *この機会に党員たちが次期書記長を選出する)は,彼の望みどおり 2008年の市長選以後に開催されることになった。つまりそれは,セゴレーヌ・ロワイヤルへの警告なのだ。彼女のかつての夫は,自分の(書記長)任期が予定より早く終了することも,2012年大統領候補の選出次期を早めることも,承知しなかったのである。

3.党内でのロワイヤルの影響力の低下

『 (前回の大統領選で)我々に投票してくれた有権者は,党に加入するよりも,党から関心を失う人が多いのが現状だ 』---この機会に乗じて発せられた棘のある言葉に,ロワイヤルは耳を傾けなければならない。セゴレーヌ・ロワイヤルを今でも公的に支持するのは,もはや影響力の少ない政治家ばかりだ。2日前に党幹部職を辞任したばかりの,社会党議員ガエタン・ゴルス(Gaëtan Gorce)はその中のひとりである。

4.社会党,オランド書記長を改めて信任

しかし,ゴルス議員の批判ごときに揺らぐフランソワ・オランドではない。彼は党の機構を手に取るように理解しているし,困難な状況から再起することにかけては誰よりも長けているのだから。そして土曜日( *理事会開催日),彼はそれを証明してみせた。棄権1票と反対1票を除いて,300票の賛成票が投じられたのだ。それはあたかも,社会党トップのオランド書記長を再任したかのごとくだった。党の,オランドへの忠誠心が再確認された時点で,ロワイヤル支持者の出る幕はなくなった。

5.くすぶる派閥争い

しかし,これで党内の勢力争いが完全に収拾したわけではない。ファビウス派が武力に訴えなかったからと言って,DSK(ドミニク・ストロス=カン)の懐刀(ふところがたな)であるジャン=クリストフ・カンバデリスが矛を収めたわけではないのだ。つい最近,オランドを糾弾する本を出版したカンバデリス。『 あなたはオランド書記長の復活劇を見に(理事会に)来ないのか? 』 と問われた彼は,いらだちを隠せないふりをしてみせた。

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PS(フランス社会党)は,敵を間違えてるんじゃないかなあ,と思ってしまいます。確かにロワイヤルのやり方はあまりにも不器用だし,自分の人気を笠に着たスタンドプレイは,『 我こそは 』 と自負する大物政治家たちの嫉妬を煽るだけ。でも彼女が,自身の大統領選の苦い経験から,党幹部とエレファントたちを警戒するのも同情の余地あり。どちらにせよ,あまりロワイヤルをいじめると,離党してしまうかも?お互いにほどほどにしないと・・・。喜ぶのは与党だけだしね。ちなみにPSの最新情報としては,なんとイギリス議会に倣って ”シャドウ・キャビネット”(影の内閣)を組閣。ちなみに”首相”は国会社会党代表に再任されたばかりの,ロワイヤル寄りのジャン=マルク・エイロ氏。さて・・・?

 キーワード & 訳注 
*① ドミニク・ストロス=カン ・・・
・・・通称DSK(デー・エス・カー)。エレファント(社会党大物政治家)の最有力者のひとり。詳しくは,過去の記事のキーワード欄で。
*② ジャン=リュック・メランション ( Jean-Luc Mélenchon ) ・・・
・・・この人もエレファントのひとり。記者の間では,『 セゴの悪口が聞きたければこの人に直行! 』・・・というくらい,有名なアンチ・ロワイヤリスト。リベラシオン紙を代表するジャーナリスト,ロラン・ジョフラン氏が以前この人のことを『 まだ引退しないのか 』とか,『 頭の中で現実が脳に認識されるまでずいぶん時間がかかる政治家 』と揶揄したため,メランションが激昂したこともありましたね。( *参照 → 以前の記事のキーワード欄 )・・・それにしても本文中のビデオ画像,メランションの顔,近すぎ。

14 Comments

Denny Johpp  

きょう会った某雑誌の投稿欄の挿絵。なんと象が踊って
いるのです!
おりしもこの記事。LePoint誌ではないですが、このまま
ではサルコジさん安泰でしょう。なんだかねぇ・・・。

2007/06/29 (Fri) 22:30 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-275 to : Denny Johppさん

ゾウが踊っている!i-277
それはタイヘンです~。

ゾウさんに実力があるのは事実なのですが,
社会党の枠を超えて支持を集められるのは,もはやゾウさんではない,と
どうしても認められないんでしょうね・・・。

ほんと,サルコジさんは影でPSのことを笑ってそうです!

2007/06/30 (Sat) 23:03 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

Marianne誌の記事は、ミッテラン時代を忘れられない
のだろうという趣旨でした。
サルコジさんにとっては願ったりかなったりでしょう
ね・・・。

2007/07/01 (Sun) 19:21 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-209 to : Denny Johppさん

なるほど,
特に若くして首相に抜擢され,
当時,国民に絶大な人気を博したファビウスにとっては
ミッテラン時代は『 栄光の時代 』だったでしょうね(^-^;)

ロワイヤルが書いた『 Maintenant 』も,
ミッテランの『 Ici et maintenant 』の影響(タイトルも内容も)が色濃く感じられるとか。

2007/07/03 (Tue) 00:38 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

Maintenantは注文したところでして、ensemble等と比べて
読む予定です。
ただ、今後にどこまであてはまるかはわかりませんが・・・。

2007/07/03 (Tue) 22:10 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-258 to : Denny Johppさん

やっぱり『 Maintenant 』を注文なさったのですね!
『 Ensemble 』もすでにお持ちとは・・・i-265

今後のロワイヤルの方針とくらべて
”間違い探し”をするのも,いいかもしれませんねi-277

2007/07/04 (Wed) 23:22 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

ありがとうございます!<間違い探し
あとはバイルさんの著書を揃えれば、2012年の参考に
なるかと(笑)。

2007/07/05 (Thu) 21:29 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-275 to : Denny Johppさん

バイルさんは元教師ですし,フランス史に造詣が深いので
彼の本は,いわゆる政治家が書いた本とは
一味違って,読み甲斐がありそうですね。

2007/07/06 (Fri) 22:52 | EDIT | REPLY |   

Denny Johp  

フランスへの注文ですと1ヶ月かかるので待つ甲斐があります
(笑)。その間雑誌を読んで待とうと思います。

2007/07/07 (Sat) 06:36 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-259 to : Denny Johppさん

1ヶ月ですか~!!
・・・フランスらしいですねぇi-229

2007/07/08 (Sun) 18:05 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

USだと数日なんだようなぁ・・・、とぼやいてもねぇ。
でも、待つだけの価値はありますね。
あ、あと、ロワイヤル氏の「告白」本もあります、

2007/07/09 (Mon) 22:01 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Denny Johppさん

ロワイヤル氏の告白本って・・・なんでしょう??
いろいろあるんですねぇ。

2007/07/10 (Tue) 01:30 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

AFP記者とのインタビュー本で、「オランド氏にでていって
もらうよう話した」という内容です。原題を忘れてしまい
ました・・・。

2007/07/10 (Tue) 22:51 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-276 to : Denny Johppさん

『 Ségolène Royal, les coulisses d'une défaite 』
ですね!
『 La Femme Fatale 』と読み比べるとおもしろそうi-265

2007/07/10 (Tue) 23:23 | EDIT | REPLY |   

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