* ストロス=カンのIMF会長就任が意味するものは?

Dominique Strauss-Kahn, dit "DSK"  images by © Le Monde.fr

                               ↑ うれしそう。

ちょっぴりお久しぶりの”フランスメディアななめ読み”です。かつて社会党のエレファント(大物政治家)として恐れられていたドミニク・ストロス=カンことDSK(デー・エス・カー)も,サルコジ大統領の強力な後押しにより,とうとうIMF(国際通貨基金)会長に就任。そのあたりの経緯については,以前の記事でも触れましたが,少なくとも2012年の大統領選で,サルコジさんの前に立ちはだかる強敵がひとり減ったのは事実。・・・というわけで,DSKと言えばまずはとりあえず,(楽観的すぎる気もしないではない)リベラシオン紙の社説から。


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『 現実主義 』  
社説 | リベラシオン紙 | 2007/09/29付 | ディディエ・プルクリ著
"Réalismes"
 Éditorial | Libération | par Didier Pourquery
(*) 内は訳者による注釈


ドミニク・ストロス=カンの国際通貨基金(IMF)会長就任については,いくつかの異なる見方ができるだろう。たとえば,“ああ,社会党員がやっと1人当選した!”とも言えるし,昨日ニコラ・サルコジが表明したように,“これこそが,(野党にも開放された)オープンな政治だ!”という見方もあるだろう。さらには,“おや,DSKも選挙キャンペーンをやろうと思えばちゃんとできるじゃないか!”という見方---これは,きっと意地の悪い考え(*注①)だと思われるに違いないが。

パスカル・ラミー氏(*元社会党議員)が世界貿易機関(WTO)の事務局長に就任し,その後ストロス=カンが国際通貨基金(IMF)の会長に選出されたことは,フランス社会党員たちがグローバリゼーションの経済原理の勝利を最終的に認めたことに他ならない。そして,それが意味することは明白だ。すなわち,一部の抵抗勢力をのぞき,社会党はこの分野に関してずいぶん前からロカルディズムまたはドゥロリズム(*注②)的な現実主義に転換していたのである。しかし,このサルセル市(Sarcelles)の議員(*DSKのこと)がワシントンで最も高給といわれる公職に就いたことで,より本質的な,すなわちその使命を吟味せねばなるまい。なぜなら,今後DSKがトップとして率いるこの機関(IMF)は実は危機的状況にあり,彼がそこにもたらすであろう改革手段が,非常に注目されているからだ。

今回の会長選で自らを売り込むにあたり,リヨネル・ジョスパン元首相のかつての財務大臣(*DSKのこと)は,今までとは別の方法でIMFを統率してゆく方針を打ち出した。すなわち彼は,“南”の候補者に対抗すべき“北”(*欧米を指す)の候補者となることを拒否したのである。それは,今,まさに急速に発展を遂げている中国や韓国,メキシコやトルコの地位をより重視することであり,また,IMF自体の使命さえも再定義すること---。果たして彼は,会長選で約束した約束すべてを守ることができるだろうか?それは生半可なことではない。彼はまた,米政府に対していかに距離を取りIMFの独立性を保つことができるか,という点でも能力が問われるだろう。それは,まさしく挑戦なのである。

しかし,もしそれが結局のところ,左派が高いポジションで政治を行う,もうひとつの手段であるとしたら? いずれにせよ,少なくとも今回のDSK当選で言えるのは,党公認の大統領候補選出選で負けても,人生は終わったわけではない,ということだ。ロラン・ファビウスはさぞかし胸をなでおろす(*注③)ことだろう。

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上限関税はコショウだ 』 ← ラミーさんと言えば,こんなこともありましたね・・・。

 キーワード & 訳注 
*① 意地悪な見方・・・
前回のフランス大統領選に際し,社会党が公認候補として選出したのはDSKでもファビウスでもなく,セゴレーヌ・ロワイヤルだった。この件は三者間に遺恨を残すこととなり,DSKとファビウスはロワイヤルの大統領選に積極的に協力しなかったばかりか足を引っ張ったとさえ言われる。記事はそのことを揶揄している。
*② ロカルディズムとドゥロリズム・・・
ロカルディズムはミシェル・ロカール(Michel Rocard),ドゥロリズムはジャック・ドゥロール(Jacques Delors)に由来。ロカールはミッテラン大統領(社会党)下で国務大臣,首相を務め,ドゥロールは同大統領下で経済・財務,予算大臣を歴任。両者ともに70年代から世界市場経済を容認し,より現実的な経済政策を提唱した。ちなみにWTO会長のパスカル・ラミーはかつてドゥロールが経済・財務大臣だった時の顧問でもある。
*③ ファビウスは胸をなでおろす・・・
上記①参照。まあ,ファビウスは共和制以降のフランス政治史上で最年少の首相(37歳)だったことだし・・・。でも,若くしてナンバー2に登りつめただけに,長すぎる余生が辛い?

8 Comments

DennyJohpp  

決まりましたねぁ<専務理事
FRBがぐらついているのでちょうどいいかもしれない・・・?
でもなんか割り切れないですね。

2007/10/03 (Wed) 18:54 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

DSKが就任後初めてゲスト出演したニュース番組を観ていたら,
彼のジェスチャーがサルコジさんに酷似していて,
愕然としました~i-278

2007/10/03 (Wed) 21:29 | EDIT | REPLY |   

DennyJohpp  

なにっ!それはニュースです<ジェスチャー
どこまで”取り込まれる”のか・・・。
でも、見方を変えるとフランスが危機に直面しているのかも
しれませんね。

2007/10/05 (Fri) 09:38 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

はい,観ていてけっこう笑えました(^-^)

> でも、見方を変えるとフランスが危機に直面しているのかも
> しれませんね。


確かに,サルコジ率いるフランスが
これから大きく変わることだけは確かなようですね。

2007/10/08 (Mon) 22:35 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

おりしもロシアでプーチンさんと一戦やらかそうという
魂胆のようで・・・。
大丈夫かな?相手は百戦錬磨ですからねぇ・・・。

2007/10/10 (Wed) 19:56 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

なんだか中途半端な会談でしたねぇ・・・★

さすがにいつもの自信満々なサルコジさんはどこへやら,
言葉を慎重に選んで,
ずいぶん神経質になってたようですね・・・。

2007/10/15 (Mon) 00:58 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

ある新聞の見出しは「スクールボーイサルコ、プーチンに
一蹴」。
力関係がわかってしまいますね^^;;;

2007/10/16 (Tue) 08:37 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

> スクールボーイサルコ

え~,す・・・すごい見出しですね(笑)。
確かに,ちっちゃいですけど・・・サルコジさん★
(・・・え?そうじゃなくて?)

2007/10/17 (Wed) 19:04 | EDIT | REPLY |   

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