* サルコジにみる円滑な制度改革の進め方 【前編】

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Nicolas Sarkozy
イノシシも真っ青!の勢いで突き進むサルコジさん,あまりのスピードとパワーにもう誰もついていけない?(笑)ついでに,国民の支持も離れてゆくかもしれないけれど。年金制度改革に公務員制度改革など,”痛みをともなう”改革を次々・・・どころか,同時進行でゴリ押ししてくるサルコジに,労働組合や野党も息つくヒマもないようです。


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『 サルコジ的メソッドの代償 ( 前編 ) 』 
2007/09/22付 Le Monde | Analyse
"Le prix de la méthode Sarkozy, par Philippe Ridet"
 ルモンド紙 | 分析
par Philippe Ridet ( フィリップ・リデ著 )


それについては誰も異存はあるまい。---ニコラ・サルコジは,(彼自身によれば)”あらゆる分野で何かをするために”大統領選で選ばれたのであり,事実,彼は約束を守っている,ということを---。

綿密にプログラムされたサルコジ大統領の一連のメディア出演は,彼がバカンス先から戻った8月19日にはじまり,9月20日のTF1とFrance2に許可されたインタビューで締めくくられた。そのおかげで,彼は自らの政治的展望を披露する機会を得た。それはたとえば,エリゼ宮(仏大統領府)で各国の大使を招いて行われた,NATO重視の外交方針の演説であり(8月27日),ブロワ市で教師たちに”新たなる再生”を呼びかけた演説(9月4日),そして,レンヌ市で提案した農業改革への展望(9月11日)である。また,”労使間の対話の再開”をめざして労働組合の同意を模索し(18日,上院にて),公務員制度に”文化的改革”を導入すべく意思表明した(19日,ナント市)。また,それぞれの演説に際しサルコジは,欧州中央銀行(ECB)を批判することも,”被害者”の悲しみに同情し(*注①),フランス代表ラグビーチームを応援することも忘れなかった。---そう,まさに”あらゆる分野で何かを”,なのだ。

この戦略には利点がある。歴代大統領たちが改革をひとつずつ慎重に実行したのに対し,サルコジ大統領は一連の改革に一度に着手することができる点だ。この戦略に,ライバルたちは青息吐息だ。まず労働組合は,この激しい潮流に飲み込まれ,どの改革から反撃を開始すればよいのかさえ分からない始末。野党は,どのような攻防戦を展開したものか判断に苦しみ,この暴風雨がそのうち激しさを弱めるのを願うばかりだ。そして我々メディアは,サルコジ大統領が押し付ける過密スケジュールに振り回されっぱなしだ。だが反対に,今まで右派政権の慎重さに絶望していたサルコジ支持者は,その(鮮やかな)戦略にうっとりと魅了されている。マニフェストそのものよりも,それを実行する”能力”を買われて大統領を勝ち抜いたサルコジは,自分が”公約を守っている”と胸を張ることが出来るのである。

ところが,経済成長の見通しに陰りが見えはじめ,150億ユーロもの税制改革が予告された今,政府が期待していた”(国民からの)劇的な支持”(*注②)を得るための財源は危機的状況に陥った。そのとたん,優れた戦略家であるムッシュ・サルコジはすばやく戦場の場を移したのだ。---景気が思わしくない,だと?ならば,労働問題を前面に押し出せばいいではないか!--- 歴代大統領たちであれば,より良いタイミングを待って時間稼ぎしたであろう時に,サルコジは逆にこの危機的状況を理由に,改革の緊急性を正当化したのである。

器用なサルコジ氏は,リズムを自在に操る術(すべ)を知っている。すべてを同時に,しかし,それぞれを異なったリズムで実行するのだ。すなわち,35時間労働法の緩和や,相互職業機関(Unédic)(*注③)と職業安定所(ANPE)の統合ほどには急を要さないにせよ,年金制度の”調和”政策は一刻の猶予を争う緊急課題なのだ。逆に,国家システムと公務員制度の改革については,政府はその実現を急いでいるようには見えない。つまり,前者3つが6ヶ月以内に施行されなければならないとしても,後者2つは内容のさらなる充実を期して2012年まで待ってもよい,というスタンスなのである。
( → 【 後編 】に続く )


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 キーワード & 訳注 
*① ”被害者”に同情・・・
サルコジが大統領に就任して以来,日々フランス国内で三面記事をにぎわす殺人事件や悲劇的事件が起きるたびに,サルコジをはじめ各大臣たちが報道陣を引き連れて現場に急行し,遺族や被害者に”同情”の意を示すようになった。これを,”国民感情に共感できる,より近い存在の政府 ”と取るか,” メディアを利用し,国民に媚びるポピュリズム政治 ”と取るか,少なからず議論を呼んでいる。
*② ”劇的な支持(または信頼)”・・・
今年6月の総選挙に先立ち,フィヨン首相が述べた言葉。負フィヨンは演説の中で,『 サルコジが大統領選中の公約をすべて実行に移せるよう,”(国民からの)劇的な信頼”が必要であり,サルコジのもたらす改革は”劇的な経済成長”をもたらすであろう 』と述べている。
*③ Unédic・・・
( Union nationale interprofessionnelle pour l'emploi dans l'industrie et le commerce ) 工業・商業分野に従事する労働者の失業手当などを管轄する国家機関のこと。

8 Comments

Denny Johpp  

日本脱出・・・。漫画やITに興味があればお勧めしますが
・・・。相撲は・・・、ムリかな? あとラグビーもどうでしょう
か・・・。

2007/10/10 (Wed) 19:55 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

ラグビーと言えば・・・
フランス,やっぱり(←失礼だし)負けちゃいましたね~。

ちなみに,マンガとか相撲とかには全く興味のないヒトたちです・・・(^-^;;)。

2007/10/15 (Mon) 00:55 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

ラグビーは順当といえば順当な決勝戦。
どちらが勝ってもいいですが・・・。

2007/10/16 (Tue) 08:36 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

フランスがALL BLACKに勝ったこと自体,
奇跡みたいなものですものね(^-^;;)

ちなみにわたしは,ルールもちゃんと分かってないのに,
イケメン狙いで観ている超不届きモノですからe-277

2007/10/17 (Wed) 19:01 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

結局スプリングボックスが優勝。うーん、英連邦は
侮れないなぁと思いました。
4年後のシャンパンラグビー期待しています。
・・・で、日本は・・・?(汗)

2007/10/24 (Wed) 08:08 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

日本は・・・どうでしょうねぇ・・・(TAT)
最近のラグビーは体当たり勝負の傾向が強いようなので,
アジア系には辛いところですよね。

ラポルト監督ってば,さっさとサルコジさんのとこに行っちゃいましたね。
あり得ないなあ。

2007/10/27 (Sat) 23:31 | EDIT | REPLY |   

Denny Johpp  

エリサルドさんが「契約」した気持ちがなんとなく
わかります<ラグビー
十年以上前に早明戦を見ましたが、あれが日本のラグビー
を象徴していると思います・・・。
・・・でW杯を日本で・・・?うーん・・・。

2007/10/29 (Mon) 09:23 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

エルサルドさん・・・

すみません,その方,知りませんでした(T-T)。
早明戦・・・そういえば日本では
大学レベルでのラグビーはさかんなのですよね?

・・・いえ,すみません。
その辺もよく知らないのです・・・もう黙りますi-229


2007/11/02 (Fri) 21:49 | EDIT | REPLY |   

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