* そしてサルコジの進む道【前半】 (ル・モンド紙より)

* images by © Le Monde

特別年金制度の廃止に反対する人たちのデモ行進,11月14日

( 久しぶりの更新になってしまってごめんなさい・・・)

さて,フランスにおける公共交通機関の大規模なストライキは,ひとまず終焉の兆し。もちろん政府の出方によっては,組合側がストを再開する可能性は残っています。組合側から”人質”にとられた市民たちの疲れも限界に達した一方で,組合内部での意見の対立も改めて浮き彫りになったよう。以下ディテールになりますが,たとえばCGT(労働総同盟)。”CGTの顔”ベルナール・ティボー書記長は2009年に迫った自らの再選を視野に入れつつ戦略を展開したため,内部のみならず側近からも批判続出。また,今回まっさきに反改革に立ち上がったはずのCFDT(フランス民主主義労働同盟)は,CGTが政府お気に入りの交渉相手としてちやほやされることに我慢がならず・・・。そんなCGTやCFDTの内紛や対立につけこみ,虎視眈々と勢力拡大を狙うのが,強硬姿勢で知られるSUD系(連帯労働組合連合)。一方,”フランス一の出たがり屋さん”サルコジは,ストライキ中ぱったり音沙汰なし。自分の怒号がスト激化につながると悟ったか,突然メディアから姿を消したと思いきや,今や中国にてフランス代表セールスマンとして大活躍。フランス自慢の第三世代原子炉やエアバス160機など,計200億ユーロ(3兆円超)にのぼる売却契約を成立させたとか。
今回の記事はストライキ直前に書かれたものですが,今読んでも説得力があるので,訳しておきますね。


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『 ニコラ・サルコジ,私利私欲の外交官
(前編) 』 
2007/11/06付 Le Monde
"Nicolas Sarkozy, diplomate intéressé, par Philippe Ridet" ルモンド紙
Analyse | 分析 | par Philippe Ridet ( フィリップ・リデ著 )
(*)は訳者による注釈

大統領の支持率は深刻なまでに低下し,不満分子たちは連立の可能性を模索している。下院が可決した大統領給与の大幅な引き上げに疑問の声が高まり,与党内部では漠然とした不安がくすぶっている。それらを振り切るように,ニコラ・サルコジは活動の場を移すべく動き出した。訪米を2日後に控えていたにも関わらず,サルコジはチャド共和国で”救出”劇を成功させ,機知に富んだ,大胆で辣腕(らつわん)の外交官として再登場を果たしたのである。

ストライキ突入を呼びかけている職業や労働組合は,今やおびただしい数にのぼる。また,数ヶ月前から上昇を続けるガソリン価格に対し不満の声が噴出しているのは,今さら言うまでもない。サルコジ大統領が外交面で成功を収めたからといって,フランス国民が国内の諸問題を忘れるわけではないのだ。鉄道員,RATP(パリ交通公団)職員,法曹,公務員,漁業関係者らは,要求が通るまで決してあきらめないだろう。しかしここ数日間,彼らの話題は紙面を騒がしてはいない。2007年6月の大統領選から6ヶ月経った今,サルコジ氏はようやくひと息つけるだろう。

11月4日,ンジャメナ(*チャド共和国の首都)から帰国した国家元首サルコジが,果たして支持率を何ポイント上げたかなど,知る由(よし)もない。サルコジ大統領はフランス空軍所有のエアバスをチャド共和国の首都に送り込み,フランス人ジャーナリスト3人とスペインの客室乗務員4人を,マドリッド経由でパリへ無事帰国させた。つまりサルコジ氏は,事件解決のもっともおいしい部分を独り占めしたのだ。民間団体『 ゾエの箱舟 』による今回の不可解な行為を未然に防げなかったとして,批判の矢面に立たされたフランス外務省と国防省とはうらはらに,フランス大統領は事件のハッピーエンド---部分的とはいえ---の手柄をすべて我が物とすることで,機先を制し,非難の矛先をかわすことに成功したのである。

この波乱に満ちた冒険は,サルコジにとって”個人的かつ思いやり外交”を確立する絶好の機会となった。そして彼は,自分がその唯一の主導者(あるいはそれにほぼ近い役回り)たらんことを望んでいる。『 国家元首が国民を助けに行くのは当然であり,ましてその人が無実ならなおさらだ 』 ---チャド事件への干渉が生じるリスクに質問が及んだ際,彼はこう答えている。『 もっと分かりやすく言えば,たとえ彼らに何らかの落ち度があろうとも,私は彼らに責任があるのだ 』 と彼は付け加えた。『 法治国家において,フランス共和国の大統領はすべての国民に責任を負う。たとえ,彼らが違法行為を犯したとしても,だ 』

この説明は,国家元首に対して常に効果的な対抗方法を模索している社会党へ向けた答えでもある。社会党は,前述の”快挙”に対し形ばかりの賞賛を贈りつつ,大統領による政治の”劇場化”と個人主義的嗜好を集中的に批判している。『 悪者退治のヒーローきどりで国家を導くのはやめて頂きたい。サルコジは,まるで自分が救世主であるかのように振る舞い,自分ひとりが行動しているかのように演出する,という衝動を抑えることが出来ないでいる 』 と,セゴレーヌ・ロワイヤルの大統領選挙運動の指揮を取ったジャン=ルイ・ビアンコ議員は指摘する。また,フランソワ・オランド社会党書記長の言葉を借りれば,サルコジ氏のチャド訪問は『 メディアの話題を独占するために,あらゆる分野で常にアクションを起こし,常に存在していなければ気が済まないという,サルコジ特有のメソッド 』に起因する。確かにそれは疑いようがない。だが今日(こんにち),大統領とそのメソッドが結果によって正当化されているのも事実なのだ。( → 【 後編 】につづく。)

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---たとえ,彼らに落ち度があったとしても,違法行為を犯したとしても,国家元首はその国民すべてに責任を負う---。確かにそれは,自分の”出たがり屋さん”を正当化するサルコジの詭弁かもしれません。でも,たとえそうだとしても,たとえば国民が海外で人質になろうが,どんな被害を被ろうが,何かにつけて『 自己責任 』を振りかざしすどこかの国の政府は,すこしは見習ってほしいです。。。

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