* 死の接吻 --- カダフィ大佐を招待したサルコジ大統領 / ルモンド社説より

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ブルボン宮で歓迎を受けるリビアの実質的支配者,カダフィ大佐 / 12月11日

タイトル『 死の接吻 』 (ル・ベゼ・ド・ラ・モー)は,カダフィのフランス公式訪問を非難した,ラマ・ヤド女史(セネガル出身,サルコジが抜擢した内閣最年少の外務省付き人権担当政務次官)の言葉から。サルコジさんはまたもや,(しかも今度は国際的に)物議をかもすこと必然の,きなくさい”お友達”を増やしたようです。野党からはもちろん,与党内からも批判続出の,カダフィ大佐の5日間にわたるフランス訪問。かつて(いまだに?)テロリスト国家と呼ばれ,人権を踏みにじってきた反面,アフリカ第二の石油産出量と豊富な天然ガスを誇るリビアは,見方によっては”魅惑的”な国。折りしもフランス政府は現在,リビア政府もといカダフィ大佐と40億ユーロ(原子炉,エアバス21機,フランスが今までどこの国にも買ってもらえなかったダッソー社製の戦闘機ラファール14機など)にのぼる売買契約を調整中。とにかく,カダフィとの国家レベルでの親交が,フランスにとって文字どおり ”死の接吻”にならなければいいけれど。


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『 カダフィ大佐,パリ訪問 』 
2007/12/10付 | Le Monde | Éditorial
"Kadhafi à Paris"
 ル・モンド紙  |  社説
(*)は訳者による注釈

かつてムアンマル・カダフィは,テロを支援したとして国連から実質上追放されていた。それ以来,西欧諸国の中で初めて彼に公式招待の栄誉を与えた国が,フランスだ。リビア政府が基本的人権を愚弄し,多くの死傷者を出したアメリカ航空パンナム機爆破事件やフランス航空機UTA爆破事件(*注①)に関与したにもかかわらず,イギリスとアメリカは2003年,このリビア国家元首(*カダフィ)に核兵器放棄への交渉を承諾させる代わりに,彼に対する態度を転換したのである。

それでも,アメリカ政府とイギリス政府は今日こんにちにいたるまで,この自称”リビア革命の指導者”を一度も自国に招待していない。確かに,トニー・ブレアが首相として最後に行った6月の外国訪問のひとつはリビアだったが,それは石油に関する大規模な交渉のためであった。だがその時も,ブルガリア人看護師らはあいかわらずベンガジの刑務所に収監されていたのだ。ブレア首相が初めてリビアを訪問したのは2004年にさかのぼり,それは当時イタリア首相であったシルヴィオ・ベルルスコーニやジャック・シラク(*当時フランス大統領)も同様であった。同じ年に,欧州委員会の委員長であったロマノ・プロディ(*現イタリア大統領)はカダフィ大佐をブリュッセル(*に本拠地を置く欧州委員会)に招待している。

フランス共和国大統領サルコジはこれらの前例を引き合いに出して,”リビア指導者(*カダフィ)の要求にしたがって認めた特権など大したことではない”,と言うだろう。しかし,サルコジ大統領がこのリビアの”指導者”をいそいそと迎え,長期滞在中にちやほやすればするほど,フランスは恥ずべき立場に追い込まれるのだ。無条件でリビア政府とさらなる親交を深めることは,豊富な石油埋蔵量を切り札にちらつかせるこの年老いた独裁者(*カダフィ)に白紙委任状を与えるも同様だ。

アンゲラ・メルケル独首相は,いかなる場面でも,たとえ相手が誰であろうとも,人権と民主主義の原則を擁護してきた。反対にサルコジ氏は,自由を侵害する海外の指導者らに対して欧州が共通姿勢を打ち出せないでいることを逆手に取っている。リビアと対話するのがよくない,と言っているのではない。第一,リビアは地中海沿岸のアフリカ諸国と親交がある。だが,どうやらフランス政府は,ブルガリア人看護師らを解放させる代わりにカダフィ大佐と秘密裏に交わした交換条件に束縛されているようだ。フランスの内閣メンバーであるベルナール・クシュネル(*外務大臣)とラマ・ヤド女史(*前述)が突然カダフィ訪問を批判しはじめたのは,野党からの激しい非難と過度な要求を未然に防ぐためだ。

大統領選挙に勝利した日の夜,サルコジ氏は 『 フランスは”圧制に苦しむ人の味方”』 であり,『 フランスを欧州に”復帰”させる 』 と表明した。そのサルコジのおかげで今,カダフィ大佐は得意満面ではないか。ロシアの国会議員選挙の結果を受け,欧州の国家元首の中でただひとりウラジミール・プーチンに賛辞を贈ったのが,サルコジ氏だった。つまり,サルコジ大統領は約束を守らないのである。 【終】 

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 キーワード & 訳注 
*① パンナム機爆破事件とUTA爆破事件・・・
過去記事『 サルコジとリビア ; とどめの一撃(エスカーダ)の手法 (2) 』 の第二パラグラフ,UTA爆破事件へのリビア関与については同記事のキーワード&訳注欄参照。

10 Comments

DennyJohpp  

Journal en du Dimanchedで読みました<カダフィ
あまり歓迎したくないのが本音だろうと思います。
来年はアラビア語勉強しようと思ってます。

2007/12/27 (Thu) 08:51 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

Dennyさん,こんばんは。

百戦錬磨のカダフィの前には,サルコジもまだまだ若輩ですねi-277
商談レベルではともかく,
外交的にはサルコジ側の読みが甘かったように思います。

アラビア語ですか!?
す・・・すごい~i-282

2007/12/29 (Sat) 03:28 | EDIT | REPLY |   

DennyJohpp  

カダフィさんはイギリス留学経験があり、その人脈で
生き残ってきたようです。
エジプトでバカンスをかねた会談という場合ではない
のでは、と思います。

2007/12/31 (Mon) 15:30 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

Dennyさん,あけましておめでとうございますe-191

カダフィさんと言えば,
彼の長男はフランスメディアに重宝(?)されてますよね。

> エジプトでバカンスをかねた会談という場合ではない
のでは、と思います。


私生活と政治をごちゃまぜにすることで国民の注目を独占するのは,
サルコジさんのおはこですし~(^-^*)

2008/01/03 (Thu) 13:10 | EDIT | REPLY |   

DennyJohpp  

>私生活と政治をごちゃまぜにすることで国民の注目を独占する
>のは, サルコジさんのおはこですし~(^-^*)
なんだかねぇ・・・。再婚だそうで、よろしいのではない
でしょうか・・・。でもスト続きだとそうもいかないの
では?

2008/01/09 (Wed) 09:27 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

エタ・ド・グラス(ご祝儀期間)も終わってしまった今,
ストライキ,離婚,カダフィ問題・・・と,マイナス要素には事欠かないけれど,
カルラ・ブルーニとの再婚がプラスに働くとでも読んでいるのでしょうか・・・i-230

どーでもいいことですが,
カルラってセシリアに顔がとても似てると思うのですけれど。

2008/01/10 (Thu) 00:54 | EDIT | REPLY |   

DennyJohpp  

>カルラってセシリアに顔がとても似てると思うのですけれど。
セシリアさんに未練あるのかそれとも・・・。

2008/01/18 (Fri) 08:19 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

要は,サルコジさんの好みの女性が
セシリアさんやカルラ・ブルーニ系の美人なのでしょうね(^-^;;)

でもサルコジさん,カルラさんにも裏切られそう・・・i-277

2008/01/20 (Sun) 22:21 | EDIT | REPLY |   

DennyJohpp  

>でもサルコジさん,カルラさんにも裏切られそう・・・

理想と現実の境目があるようなないような感じです。
大丈夫かなぁ?

2008/01/22 (Tue) 08:05 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

そうですね~・・・。

サルコジさんはファーストレディに”ビジュアル”を求めているのでしょうね。

でもカルラの奔放さはセシリアの比じゃないですし,
世界中の視線の中で赤っ恥をかかされなきゃいいけれどi-277

2008/01/24 (Thu) 22:44 | EDIT | REPLY |   

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