* サルコジ大統領,2007年の総括と2008年への誓い

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・・・ヤクザ? (・・・もとい,ルクソール空港に降り立ったサルコジ大統領と歌姫カルラ)

みなさま,あけましておめでとうございます。今年も気の向くままにあちこちに脱線しつつ,ヨロヨロとがんばってゆきたいと思います。どうぞよろしゅう。そして新年早々これはどうかと思いつつ,やはりサルコジさんの話題で2008年の幕は開けるのでした。元祖スーパーモデルで恋多き歌姫,カルラ・ブルーニとの再婚の可能性をちらつかせても,支持率低下を食い止められないサルコジさん。そんな中で放映された新年の恒例行事,大統領演説に対する批評をル・モンド紙から。ちなみに最近のル・モンド,ようやく以前のような中立姿勢を取り戻してきましたよね。一時はどうなることかと思ったけれど,元気になったル・モンドを再び読むようになったので,こちらでの記事もル・モンド経由が増えそうですよ。


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『 新年の誓い,早くも息切れる 』 
2008/01/01付 | Le Monde | Éditorial
"Des voeux essoufflés"
 ルモンド紙  |  社説
* (*)は訳者による注釈
* フランス語がお分かりになる方はまずこちらから  サルコジ大統領による新年のメッセージ映像


コミュニケーション能力,革新,サプライズ---それが,ニコラ・サルコジが誇る政治的武器の重要な要素だ。しかし,テレビ放映された新年の大統領演説で,それらが発揮されることはなかった。

サルコジは,フランス国民の期待を敏感に察知し,それに対する答えを提案する能力を備えている。ゆえに,国民の関心を集め,彼らの意識に働きかける自身の能力に依存しているのだ。そのような彼にとって,新年恒例の大統領演説は大きな意味をもっていた。ましてエリゼ宮(*大統領府)は,(*サルコジのスローガンである,前政府との)”断絶”を,このスピーチの演説スタイルと内容にも反映させようと望んでいたのだから,なおさらであろう。プロンプターに映し出される原稿を生中継で読み上げたのは,確かに新しい試みではある。しかしそれは,たいして賞賛に値しないように思われる。そしてその試みを除けば,新大統領の新年のメッセージは前任者らの寄せ集めにすぎなかった。

とは言え,”改革の総括をすべく努力した”という意味では,確かに前大統領たちとは一線を画する。サルコジ氏は,大統領就任から7ヶ月とすこしというこの期間で,フランス国民が彼の政策に理解を示しているよりも,むしろ戸惑っていることに気づいていた。だからこそ,”改革が早急すぎると感じている”国民に対してはもちろん,”改革がすみやかに行われていないと感じる”国民に対しても,自分の政策を正当化しようと努めたのだ。こうしてすべての国民に話しかけることで,サルコジは大統領選に勝利したあの夜の約束---”私はフランス国民をだまさない,裏切らない”---を,再び誓ったのである。だが,それは最低限のことであろう。
そして今日,これらの大統領の発言が,彼の今までの行動と誠実さによって評価される時がきた。それらの基準に鑑みれば,国家元首(*サルコジ)が全力を注いだこの演説の評判は芳しくないものだった。なぜなら,夏に着手した”税制改革”(*注①)が,『 景気の変動に対しフランス経済が”より抵抗力をつける”ことに役立った 』 などと強調するのは,不当前提の論理(*注②)だからである。

フランス共和国の大統領が,自分が”過ちを犯す”ことがあり得ると認めることが出来るのは幸いだ。ならば数日後に予定されている会見で公(おおやけ)に,とりわけ記者団の前で,その”過ち”が何であり,それをどのように修復するつもりなのか説明するよう,期待しようではないか!

非民主主義国家との外交に関して,フランス国家元首が批判に耳を傾けることができるのは,健全と言えよう。しかし,『 ”苦しむ人々”に手を差し伸べるために,フランスは再び”あらゆる人たちと話し合わ”なければならない 』 と主張することで,ある事実を隠している。それは,”商業利益”という名の事実(*注③)だ。それでも彼は,”私は自分自身に偽善を許さない”と強調してみせた。

サルコジ氏は,2008年度に予定される(*改革の)”第二段階”を,仰々しくも”文明の政治”と命名した。しかしそのあいまいな性質のせいか,いつになくインスピレーションの欠如が目立った。大統領は去年1年間,改革を急テンポで推し進めるべく多くの労力を費やしてきた。そして今,彼に必要なのは,息切れしない新たな活力であろう。 【完】

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 キーワード & 訳注 
*① 税制改革( paquet fiscal ) ・・・
2007年8月に制定された Loi TEPA(テパ法)のこと。 この法律の最大の目的は低迷するフランス経済を立て直すことにあり,様々な税制レベルの見直しによりフランス国民の購買力の向上を目指す。具体的には,時間外労働における所得税等の軽減,居住を目的とする不動産購買のための借入利率の優遇,相続税の軽減,高所得者に対する国内課税の軽減(高所得者が税金対策のために国外に流出することを防ぐため),など。(詳細は省略)この改革の経済的効果については,経済学者をはじめとする専門家らの懐疑的な見解が多い。
*② 不当前提(の論理)・・・
これから論証すべきことを,すでに論証済みとして前提に用いる,誤った論理方法のこと。
*③ 商業利益という名の事実・・・
特に,長年リビアで拷問・拘束されていたブルガリア人看護師らの解放と引き換えに,サルコジ大統領がカダフィ大佐と交わした秘密条件を指すと思われる。サルコジは人道目的を理由に,カダフィ大佐の独裁体制の下,テロ支援国家と非難されてきたリビアに対し,ミサイルや最新戦闘機などの武器や原子炉などを売却する巨額の商談をまとめ,フランス,リビア双方に莫大な利益をもたらすとされる。
* 関連記事 → 『 ブルガリア人解放劇の裏側 (その2) 』,『 死の接吻

2 Comments

DennyJohpp  

総選挙があるのでしたか?ことしはUMPの票にも気を配らないと
いけないだろうし(とはいえPSよりはマシな状況かもしれません
が)、再選があるかどうかの一年になるのでは、と思います。

2008/01/18 (Fri) 08:21 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

i-77 to : Dennyさん

> 総選挙があるのでしたか?

確か,3月あたりに市町村選挙があるとか。

パリ市長のドラノエさんも,再選の勢いを駆って
いずれはPS公認の大統領候補を狙ってそうですね?
オランド書記長の後任も含めて,ロワイヤルさんとはすごく仲が悪そう~i-229

2008/01/20 (Sun) 22:26 | EDIT | REPLY |   

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