* 何はともあれサブプライム

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フランスを連日騒がせている,フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラル巨額損失事件も気になるけれど,その前にサブプライムローン問題のおさらいをリベラシオン紙の社説から。ちなみにリベラシオン紙の社説担当記者は,最近入れ替わりが激しいみたい・・・。切れのよい文章と洞察力を生かし,多くの社説を書きTVなどにも出演していたジャン=ミシェル・テナール氏(Jean-Michel Thénard)はカナール・アンシェネ紙に引き抜かれ,現在はさらに他紙に移ったようだし,ピエール・アスキ氏(Pierre Haski)ももういない。そしてアスキ氏の後継として編集長に抜擢されたルノー・デリ(Renaud Dély)氏も,去年ル・パリジャン紙に引き抜かれたと思ったら,いつのまにか,あの(!)ラ・マリアンヌ紙に。(しかもラ・マリアンヌ紙の名物創始者カンおじいちゃんは,デリ氏と入れ替わるようにトップ引退。)リベラシオン紙もなんだか寂しくなったな・・・なんて思ったら,新年早々の大統領記者会見で,同紙CEOでもある毒舌家ロラン・ジョフラン氏(Laurent Joffrin)がサルコジさんと激突し,元気に(?)気炎を吐いてました。ジャーナリストはこうでなくちゃね。


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リスク 』 

"Risques" Libération | Éditorial | par Fabrice ROUSSELOT
リベラシオン紙 | 社説 | 2008/01/19付 | ファブリス・ルスロ著 |  
(*)は訳者による注釈

なぜ,アメリカ合衆国で生じた住宅ローンの”ささやかな”危機が,世界的な景気後退を引き起こす事態となったのか。昨年の夏,よもやそんなことになろうとは誰も予想だにしてなかった。確かに当時,サブプライムローンによる最初の影響が生じはじめていた。だが経済の専門家たちは,”何も心配することはない”と口をそろえた。”サブプライムはアメリカ独自の返済方式だから”と---。そうして金融機関は,返済能力の低い何千もの世帯に,リスクを伴う抵当付ローンを次々に組ませたのだ。その当時,最も一般に信じられていた仮定は,”サブプライムによる混乱は大西洋よりこちら(ヨーロッパ側)には押し寄せてこないだろう”,というものだった。

ところが,ここにひとつの誤算があった。すなわち,エコノミストたちは,全く制御を欠いたローンシステムの恐ろしさを過小評価していたのだ。実際,サブプライムローンによる貸付は過剰なまでに次々と許可された。また,このリスクの高い貸付債権が,”利益追求”という理由だけで他の会社に転売されたことで,銀行はその債権額を正確に評価することが出来なくなってしまった。経営危機に陥る可能性のある金融機関を救済するためになされた国家レベルでの資金投入も,もはや事態を収拾することはできなかった。

そして今,このアメリカ住宅ローン債権のバブルがはじけたのは当然の帰結だ。個人消費は落ち込み,経済成長は下降し,ブッシュ政権の任期満了の頃には経済後退が現実のものとなる可能性が高いと予測されている。その後は,お決まりのテオリーである”ドミノ倒し”が待っている。すなわち,世界最大の経済大国が病気に伏せったならば,その他の者たちは咳をし始めるのだ。他のことにも当てはまることだが,経済においてそのファンダメンタルズを軽視した場合,最悪のシナリオを覚悟すべきである,ということだ。
 【完】