* サルコジ大統領,敗訴。呪いのサルコジ人形,販売継続へ。

image by © Le Monde
恨めしそうな顔・・・

前回この件を扱ったので,その結末・・・ではなく,”続き”となる記事を訳しておきますね。「結末」と書けないのは,サルコジ大統領が上訴する確立が高いからです。せっかくの粋な(?)判決なのに,大人気ないなぁ。同じくサルコジさんを皮肉ったゲーム等も発売されたようだし,彼はそのつど提訴するつもりなのでしょうか?そして,今回の件で漁夫の利を得るのは,”ユーモアが分かる大人”を演じてみせたロワイヤルさん?ちなみに,この緊急審理を担当した裁判官が,女版サルコジの異名を取るラシダ・ダティ法相にこっそり更迭されないといいけれど・・・。

*   *   *   *   *   *   *   *    *   *   *   *   *   *   *   *



"La justice autorise la vente d'une poupée vaudou à l'effigie de
Nicolas Sarkozy"
2008/10/29 | Le Monde | avec AFP et Reuters |
ル・モンド紙  | AFP,ロイターとの合同記事 |
(*)は訳者による注釈


10月29日,パリ大審裁判所は,ニコラ・サルコジ大統領の呪い人形とそれを突き刺す針付きのブードゥー教手引書の販売禁止を求める請えを棄却した。肖像権の侵害を理由に緊急審理を要求したサルコジ氏の請求を退けたのである。

判決理由の中で裁判所は,”Tear Prod”会社によって3週間前から販売されている当該人形は,「人の尊厳に対する侵害にも,個人攻撃にも当たら」ず,人形は「表現の自由とユーモアを尊ぶ権利の範囲内である」と述べている。サルコジ氏の弁護士は,「当判決は判例に反するものである」として,上告する意向を表明した。よって,”この件が適切に判断されたかどうか”について,控訴院の答えを待つことになろう。


”彼はそのうち,ギニョールのTV番組を訴えるだろう”

10月9日より書店とインターネット上で販売されいるこの”ブードゥーの手引書”は,布製の人形と12本の針,56ページの小冊子が箱入りになったセットである。この商品の真の目的は,人形にプリントされた大統領の有名なフレーズやスローガンのいくつかを象徴的に激しく非難することにある。このキットを購入した人は,”失せろ,この馬鹿野郎めが”,”ゴロツキども”(*注①),そして,”もっと収入を得るために,もっと働こう”といったフレーズに針を突き刺すことが出来るのだ。

ちなみに,セゴレーヌ・ロワイヤル版ブードゥー人形も同時発売されている。購入者は,”Bravitude(*注②),”厳格な秩序”(*注③),または”自由なケベック万歳!”(*注④)といった発言に針を刺すことが出来るようになっている。だが,かつての女性大統領候補は裁判に訴えることはせず,水曜日,サルコジの提訴を皮肉った。「私にはユーモアのセンスがあります。私のブードゥー人形に対して訴訟を起こすつもりはありません」と,Europe1(フランスの民放ラジオ局)で話したのだ。「もしニコラ・サルコジが自分を脅かす人形に対して訴えを提起するなら,彼はそのうちル・カナール・アンシェネ紙*辛辣な風刺画で知られる週間新聞),マリアンヌ紙*どちらかというと中立的政治思想の週刊誌だが,大統領選以来,反サルコジ派メディアの一翼を担っている),そしてレ・ギニョール*マリオネットを使った政治風刺TV番組)に対しても提訴するでしょう」と断言した。【完】

*   *   *   *   *   *   *   *    *   *   *   *   *   *   *   *


キーワード & 訳注
*① ゴロツキども

当時内務大臣だったサルコジがパリ郊外アルジャントゥイユを訪れた際に,街を徘徊する不良グループを意味して使った蔑称語。この”(bande de) racailles”という言葉は,日本では辞書どおり「社会のくず」と訳して紹介されることが多いようですが,前後の脈絡から考えるとさすがにニュアンスが強すぎる気がします。個人的には「ゴロツキども,不良集団」あたりが妥当ではと思います。
* ②”Bravitude

セゴレーヌ・ロワイヤルが大統領選の際,”勇敢”という意味の名詞として発した言葉。正しくは”Bravoure”(ブラヴゥル)”だが,形容詞”Brave”(ブラーヴ)から連想しにくい名詞形のため,誤って(名詞らしい響きのある)造語”Bravitude”(ブラヴィテュード)を作ってしまったよう。分かる~(汗)  
*③”厳格な秩序”(Ordre juste)

ロワイヤルが2008年度の大統領選で掲げたスローガンのひとつ。校内暴力や規律を守らない生徒が増加している中,学校に”厳格な秩序”を導入すべき,とした。
*④”自由なケベック万歳!”(Vive la Québec libre!

ド・ゴール大統領の有名なフレーズ。ケベック州独立問題は非常にデリケートな内政問題であるため,ド・ゴール以降のフランスは一貫して不干渉の立場を取っているが,ロワイヤルは大統領選挙中,フランス語圏であるケベック州の独立を支持するかのような発言を不用意に繰り返した。