* 【ルモンド紙 社説】 2009年とサルコジ政権

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今年最初の記事は,ル・モンド紙からです。サルコジ大統領の新年(年末)演説から読み解く,2009年度フランスの展望です。

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"L'an neuf de Sarkozy"  2009/01/01 | Éditorial | Le Monde |
ル・モンド紙  | 社説 |
(*)は訳者による注釈


ニコラ・サルコジ大統領はフランス国民に,「2009年,我々は大きな困難に直面することになるだろう」と述べた。演説に特筆すべき表明はなく,サルコジは,世界的金融危機によって生じる”新たなる世界”に対する心構えをすべく,国民に”努力”を求めた。しかし国家元首サルコジにとってこの金融危機は,ある利点を有する。すなわち,個人消費(の向上),正規雇用(の促進),そして源泉徴収の引き下げという,彼が実現できなかった公約を後回しにできるのだ。一体誰が,大統領選挙中にサルコジ候補が,”国内総生産(GDP)の4%に相当する680億ユーロをフランス国民に還元する”と公約したことを覚えているだろう。毎月,失業率が跳ね上がっている今,一体誰が賃金の値上げを要求できるというのか。

つまり,金融危機のおかげでニコラ・サルコジは(公約実現の)猶予期間を与えられたのである。EU大統領という地位に力を得て,彼は自らの行動の指針である実用主義を引き合いに,より”緊急な課題”に備えたのだ。すなわち,過去に類を見ない世界的金融危機である。よって,金利引き下げだけでは不十分であり,景気刺激策をもって経済成長を促進するのは理にかなっているのだ。この景気刺激策に,260億ユーロの国家予算がはじき出された。政府は,需要よりも供給を優先した。つまり,消費を犠牲にして投資を促進する策を選んだのだ。確かにそれはもっともだ。なぜなら,1973年のオイルショックと1981年(*)の経験を経て,消費に財政援助をしても経済の活性化につながらないことが証明されたからだ。イギリス政府が消費税の引き下げを決断したことと比較するのは,適切ではない。なぜなら,イギリスの台所事情は火の車だが,フランスには豊かな財源があり,それを活用すべきだからだ。

とはいえ,フランス経済に内在する脆弱さは,現在の景気後退をもってしても隠し切れるものではない。政府の活躍を期待したいところだが,フランスはスウェーデンと並んで国家支出が世界最大であるにも関わらず,その成果たるや支出額に全く見合ってない。政府は国民を守ってくれないし,何かと高くつく。公共政策の全体的な見直しによって節約された額は,現時点ではごくわずかだ。研究分野と医療制度における改革,公務員の再配置,そして刑事訴訟手続きの見直しについては,それが小手先だけの改革にならないならば歓迎しよう。ニコラ・サルコジは金融業界の責任を負わないとはいえ,国家予算に関して因習を打破してきた以上,最大限の努力をすべきである。サルコジの大統領任期は半ばにさしかかったが,彼がこれ以上具体的な成果を挙げられないならば,大統領の行動至上主義もただの”あがき”に終わるだろう。【完】
(拙訳: bébépiupiu)


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「消費に財政援助をしても,経済の活性化にはつながらない」,らしいです,総理。 > 定額給付金

キーワード & 訳注
* 1981年
・・・フランス第五共和政初の社会党出身の大統領が誕生した年。同年,ミッテラン大統領は国会解散後,最低賃金や家族手当の大幅引き上げを行い,総選挙では社会党が圧勝した。国民からの支持に力を得たミッテラン政権は,労働時間の短縮,有給休暇の拡大(5週間),公務員数の増加,高額所得者への課税,(死刑制度の廃止),地方分権の促進,大企業の国有化などの社会政策を次々に実現していった。 *参照 : Wikipédia