【ルモンド社説】与党大敗---フランス地方選 第一回投票


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更新がすっかり遅くなってしまい、「いまさら」感たっぷりなのですが、与党(UMP)が大敗したフランス地方選挙について、2回にわたりルモンド紙の社説を紹介します。今日は3月14日に行われた第1回投票を受けての社説です。第1回投票では、社会党(左派)が最大で30%の得票率を獲得した一方、与党(右派)は26.5%にとどまり、緑の党(左派)、極右政党国民前線(FN)も躍進しています。1週間後の第2回投票(決戦投票)では、今回得票率10%以上を獲得した党派間で争われます。しかしこの社説、なんと決勝投票(3月21日)の前日に掲載されたので、与党にとっては痛恨の一撃だったかもしれません・・・。


"Discrédit"(原文)  2010/03/20 | Éditorial | Le Monde |
「 不信任 」 | ル・モンド紙  | 社説 | (*)は訳者による注釈  

白紙投票率3.7%に投票棄権率53.6%をあわせると、4分の3近くの有権者が地方選挙の第1回投票に不参加、あるいは有権者に託された権利の行使を拒否したことになる。第1回投票に勝ち抜いた候補者たちは、21日の第2回投票への参加を大々的に呼びかけたが、残念ながら状況が変わることはないだろう。

2007年大統領選での高い関心(投票率87%)にカモフラージュされているが、実際はフランス国民は選挙と政治にほとほと愛想を尽かしており、それはわずか1週間で改善されるようなものではない。それは20年間続く失業問題、貧困、社会からの疎外感に起因し、イデオロギー回帰とその支持者の増加がさらにそれを加速させた。そして、フランス社会の不安に耳を傾け、解決策を見いだすことができない無能な政治家たちがそれに拍車をかけた。その結果、フランス全土にいわゆる「不投票」ゾーンを作り出すことになったのである。

ニコラ・サルコジは、当然ながらこの事態に責任の一端を負っている。大統領選の選挙活動と大統領任期前半を駆け足で走りぬけた国家元首(*サルコジ)が、政治的発言と熱意を具現化する能力を備えていたのは確かである。しかし、サルコジがフランス国民の信頼を著しく失った今、国民の失望は、かつてサルコジが生み出した希望と同じくらい大きいものである。

そして、フランス国民の判断に修正を強いるであろう選挙は、今回が最後ではないだろう。サルコジは、警察官が死亡した悲劇的事件(*注)にいち早く目を付け、警察当局の公務員に対する殺人の刑事罰をさらに加重する法案を発表した。その結果、政府と与党が、彼らがいつもそうしてきたように、軍隊さながらの厳格さと治安対策によって国民の支持を呼び戻すことを期待しているのは明白だ。

与党は、フランス国民がかくも簡単に騙されるとでも思っているのだろうか。国民は、同じ人物が8年も前から、かつては内務省から、そして今はエリゼ宮(*フランス大統領府)から、犯罪と治安を改善すると何度も約束したことを忘れてはいない。フランス国民にとってその8年間は、ニコラ・サルコジの発言と約束、行動と結果に隔たりがあることに気付くのに十分であった。第一回投票を棄権し、あるいは左派に投票することで、国民は国家元首に対し少なくとも警告を、最悪の場合は制裁のメッセージを送っているのだ。来たる3月21日、彼らに同じことをせぬよう説得することは難しいようである。(終) 
( 拙訳 : bébépiupiu )
 

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 キーワード & 訳注 
■警官が死亡した事件・・・
3月16日、パリ郊外で複数の車に給油していた4人の男に対し、警官が職務質問を行った直後に銃撃戦が始まり、警官1人が死亡した事件。フランスとスペイン当局は、近年活発なリクルート活動を行っているETA(フランスとスペインの国境に位置するバスク地方の分離独立を目的とする武装民族組織)の関与が濃厚であるとして捜査を進めている。死亡した警官は4人の子どもの父親であり、葬儀にはサルコジ大統領、ザパテロ西大統領らが出席した。

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