* ベタンクール=ヴルト事件(1) 概要


ベタンクール夫人と夫(故人)
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フランス政界を揺るがせるスキャンダルに発展したベタンクール=ヴァルト事件。みなさんきっとご存知かもしれませんが、今後いくつか記事の訳をUPする前に、簡単にまとめておきます。

ベタンクール=ヴルト事件
”世界で2番目に裕福な女性”(ル・モンド紙)である、ロレアル社の相続人(Thétysホールディングス会長)リリアンヌ・ベタンクール未亡人。彼女の財産の一部を管理するクリメーヌ社(Clymène)に、コンサルタントとして現・雇用大臣であり与党UMPの経理責任者を兼任するエリック・ヴルト(Éric Woerth)氏の夫人フロランスが雇用されていたことが発覚した。(メディアで大々的に報じられた直後、フロランスは職を辞任)

この後、当時ベタンクール家で会計係を勤めていた女性が、「2007年、大統領選挙の費用として、パトリス・ドゥ・メストル氏(Thétysホールディングスとクリメーヌ社のCEOを兼任し、ベタンクール夫人の財産管理を一手に引き受ける人物)を仲介し、ベタンクール夫人からサルコジ陣営に15万ユーロが現金で手渡された」と証言した。しかし、この女性は警察から任意で事情を聞かれた際、大統領に関する証言のみを撤回した。仏メディアは、大統領側の強力な圧力がかかったのではと報じた。

サルコジ大統領は依然としてヴルトを擁護し続け、代わりにかねてから別件で批判されていた国務秘書2人を突然罷免した。この件に関し仏国内では、”ヴァートに向けられた国民の批判を逸らせるためのスケープゴート”との見解が一般である。大統領は、事件の展開とともに高まる批判に耐えかね、ヴルト氏に今月末で与党経理責任者を辞任すべく勧告した。

事件の論点
特に問題とされるのは、フロランスが採用された当時、夫のヴルト氏は国家予算相であった点だ。フランス国家の予算をつかさどる大臣が、億万長者夫人の課税措置に何らかの便宜が図ったとの疑惑が持たれても仕方のない公私混同の人事である。そして、スキャンダルが国民の関心を集める最大の理由の1つに、この事件の背景に見え隠れする、サルコジ大統領やヴルト雇用大臣をはじめとしたフランス政界の権力者とフランス大企業トップたちの個人的な親密な交際がある。リーマンショック以降の深刻な不況の中、フランス政府が金融引き締め政策により国民に大きな痛み分けを求める一方で、大企業や富裕層に有理な政策(特に税制)を進めている、とした批判を裏付ける事件となるか、注視されるところである。

最近の推移(仏版wikipediaより)
7月9日---警察、パトリス・ドゥ・メストル氏の自宅とクリメーヌ本社を家宅捜索。フロランス・ヴルト夫人に関する書類を押収。
7月15日---パトリス・ドゥ・メストル氏、フランソワ=マリ・バニエ氏(ベタンクール未亡人の親友としてたび重なる莫大な贈与を受け、ベタンクール未亡人の実の娘から訴訟を起こされているアーティスト。贈与の合計は9億9300万ユーロと推測される)、ベタンクール未亡人の税金対策専門の弁護士、セイシェルにベタンクール夫人が所有するアローズ島の管理者が拘留される。
7月17日---ルモンド紙がパトリス・ドゥ・メストルの事情聴取の内容を紙上で暴露。記事によると、ドゥ・メストル氏は2006年、故アンドレ・ベタンクール氏(ベタンクール夫人の夫)の指示により、大統領選のニコラ・サルコジ氏陣営を財政的に援助するためエリック・ヴルト氏に連絡を取った。「その後、2007年初め頃に、私はエリック・ヴルト氏に2、3回会った。なぜならヴルト氏は、私を夫人(フロランス)に会わせたがったからだ。しかも、彼女のキャリアについてアドバイスをしてくれ、と頼まれた。ヴルト氏は、”彼女は自分のキャリアにあまり満足していない”と私に語った」

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