【ルモンド社説】「サルコゲート」 ; フランス公安当局、ルモンドの情報源を追跡

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「サルコゲート」---今回の事件に代表されるサルコジ大統領によるメディア弾圧現象を、情報漏えい源を捜査させたニクソン大統領のウォーターゲート事件になぞらえ、エヴァ・ジョリー欧州議員はこう表現したそうです。ヴルト=ベタンクール事件の捜査過程において、ロレアル社相続人のベタンクール未亡人の財産を管理するパトリス・ドゥ・メストル氏が事情聴取を受けた翌日、ルモンド紙がその調書を紙上に掲載。ところがつい最近、フランスの公安警察ともいえる情報機関DCRIが、ルモンド紙の情報源を秘密裏に捜査していたとして、ルモンド紙が一面で糾弾。同誌が訴訟を起こす事態に発展しています。国会でも、野党が政府による「報道の自由、ジャーナリストの情報源の守秘」の侵害を非難し、怒号が飛びかう緊迫した状況になっています。


”"Le Monde", l’Elysée et la liberté d’informer”(原文)
  2010/09/13 | Éditorial | Le Monde |
 「 ルモンド紙、エリゼ宮、報道の自由」 | ル・モンド紙  | 社説 
  (*)は管理人による注釈  

法律が意味することは明らかだ。「ジャーナリストの情報源の秘密は、公共のための情報に関する任務遂行にあたり、保護されなければならない」 この条項は、ニコラ・サルコジ政権の下で、メディアに関する法律に追加されたものだ。そして、この条項が破られたのもニコラ・サルコジ政権下であった。、数週間前、仏国家のある機関が、ヴルト・ベタンクール事件を調査していたル・モンド紙のジャーナリスト1人の情報源を突き止めるために動いていた。必然的に反権力傾向にあるジャーナリストの基礎理念を侵害するイニシアティブと言わざるを得ない。

これには前例がある。現政権においても、過去の政権においても、だ。しかし、情報漏えいの疑いがかけられている上級国家公務員(*注①)に対する情報中央機関(DCRI)の調査が、実はメディアを萎縮させることを目的としていることに変わりはない。

ヴルト=ベタンクール事件に関する記事は、新たな形の不正手段を用いる「闇の内閣」とも言うべきCDRIによる捜査という展開を迎え、ますます興味深いものとなりつつある。与党と不正資金という近親相姦的関係を有するこの事件の捜査は、もっと前から予審判事にゆだねられるべき案件であった。つまり、大臣(*アリオ=マリ法務相)に借りがある検事ではなく、中立の立場にある裁判官が担当すべきなのだ。

火事の延焼を食い止めるためにエリゼ宮(*大統領府)が選んだ手段は、司法の単純なルールを無視することであった。炎が日を追うごとに勢いを増す中、ジャーナリストを放火犯として糾弾し、彼らを黙らせる方が都合がよいのだ。

情報源の守秘義務を強化するため、「メディアの自由に関する1881年7月29日法」に追加された「2010年1月4日法」では、冒頭でこの自由が「フランス共和国の基本理念」であると明確にうたっている。すでに1996年の判決で、ジャーナリストが情報源を漏洩しない権利と義務を定めた欧州人権裁判所の判例に、フランス国内法が従ったものである。

1881年法は、2010年の追加条項で「公共の利益に優先する必要性が正当化される場合を除き」、情報源の秘密は侵害されてはならない、と明確に定めている。だが公権力は、この「公共の利益」という概念を奇異な形で解釈しているようだ。政府は自身の利益、すなわち、与党がヴルト=ベタンクール事件にかかわる情報を可能なかぎり長期にわたり隠蔽する必要性と「公共の利益」を混同することで、司法の次にメディアを窒息させようとしている。だが、逆にヴルト=ベタンクール事件の真相が1日も早く明らかにされることこそが、「公共の利益」だ。なぜなら、ヴルト=ベタンクール事件によって、政界の空気が毒され、定年制度改革の真っただ中で政府と市民との対話の機会が妨げられているからだ。

問題の核部分には、民主主義的な意義がある。我々ルモンド紙は、ルモンド紙自身のために、そして2010年に改定された1881年法により、ジャーナリストにさらなる正当性が認められたことを知る人々のために、情報源の秘密に対する侵害を容認することはできない。市民は、情報の透明性について憂慮している。それは、本件に限らずあらゆる状況においてメディアの自由が厳格に保障されるために、我々ルモンド紙が裁判所に訴えを提起した正当性を裏付けるものである。

以上
 ( 拙訳 : 管理人 )

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 キーワード & 訳注 
①「情報漏洩の嫌疑がかけられた上級国家公務員」・・・
アリオ=マリ法務大臣の刑事分野顧問であり法曹であるダヴィッド・セナ氏( David Sénat )のこと。セナ氏はDCRIによる捜査以降、同職を辞職している。

2 Comments

Denny Jopp  

ご無沙汰してます。

なんだかなぁ…

と思い、あえてクーリエアンテルを読んでいる日々です。

2010/11/17 (Wed) 07:51 | EDIT | REPLY |   

bébépiupiu*  

Re: ご無沙汰してます。

Denny Jさん、

ごめんなさい・・・。

ブログを長く休んでいたのですが、せっかくいただいたコメントを
チェックできませんでした。
ここをまた見ていただけるとよいのですが・・・。
本当に申し訳ありません。

クーリエアンテル。
Courrier Internationalを読んでいらっしゃるのですね!
さすがですね。

最近はDSKの件もあり、2012年の仏大統領選は一体どうなるのでしょうか。
あいかわらずフランスの政治は、(蚊帳の外から眺める分には)ダイナミックですね。

コメントありがとうございました。


2011/06/12 (Sun) 22:50 | EDIT | REPLY |   

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