* イスラエルのガザ全面攻撃は、イスラエル総選挙のため?

すっかりご無沙汰してしまいましたが、海外メディアの記事の紹介です。
いつもはフランスメディアですが、今回はイギリスから。イスラエル=ガザ間の抗争はひとまず停戦が実現したようですが、イスラエル側の今回の前面攻撃の真相に関して、”The Guardian”の社説を紹介します。
the gardian
Editorial
The Guardian, Thursday 15 November 2012 22.09 GMT



Attack on Gaza: Egypt's biggest challenge yet

 ハマス司令官アフマド・アル=ジャバリ殺害、そしてガザ地区に対する空軍および海軍による全面爆撃開始の決定は、いくつかの要因に起因する。

 その中でも、イスラエル南部への連続ミサイル攻撃を阻止する必要性は、もっとも説得力に欠けるものだ。ジャバリ暗殺は、エジプト諜報機関の調停でイスラエルとハマス間で停戦交渉がなされていた間に決定されたようだ。ジャバリは、自らの人生を対イスラエル戦争に捧げたと同時に、ここ5年半の間に、ガザ地区の武装勢力に対し停戦を強いた人物でもある。

 ジラード・シャリット(※ハマスの捕虜となっていたイスラエル兵士)解放の調停に関わった人物によると、ジャバリは殺害される数時間前に恒久的停戦条約の草案を受け取っていたという。平和が安売りされる時こそ、戦争がかつてないほど近付く。トルコ首相レジェップ・タイイップ・エルドアンは、2008年末にCast Lead作戦が発動された直前に、シリアとエフード・オルメルト(※イスラエル前首相)間の和平対談を調停しており、その教訓を学んでいる。 実際、ジャバリ暗殺前に何が起こっていたとしても、今まではガザ武装勢力との戦争勃発のたびに、停戦交渉がなされていた。では、今回は何が違っていたというのか?

 リクード党(イスラエルの中道右派政党)の予選選挙とイスラエルの総選挙が近づいていることが、間違いなく重要な意味を持っている。1996年のレバノン攻撃と、2008-2009年のガザ攻撃は、両者とも選挙前日に発生した。ところが、これらの軍事行動は選挙の敗北を招いている。しかし、当時はドラマを危機に変える機会をみすみす逃すのはあまりに惜しかった。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イラン攻撃の機会も、(※アメリカの)共和党党首がホワイトハウス入りする機会も奪われた。ネタニヤフ首相にとってガザ攻撃は、あらゆるライバルをテレビ画面から抹消し、特に前首相オルメルト---オルメルト自身も、ガザ問題に「対処した」と自慢している---の返り咲きを阻止し、自分こそがイスラエル国家の安全を保証できる人物であると信任を得るための機会なのだ。エウド・バラク国防相にいたっては、イスラエル議会に再選されるためだけに動いている。

 三つめの理由は、最もリスクの大きい賭けだ。これは、ハマスを試すためでもなければ、ガザの他の武装集団を抑止するためでもない。これは、エジプトに対する試練である。

 今回のガザ攻撃とその他すべての攻撃との最大の相違点は、今や中東地域の中身そのものが変わったということだ。イスラエルが平和条約を締結した二国のうちの1つは、革命を経験し、イスラム勢力が権力を掌握した。もう一方の国ヨルダンは、同じ潮流に骨の髄まで揺さぶられている。クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦、そしてサウジアラビアの一部も、同じ熱に浮かされている。

 かつては、アラブの春が広範囲に根深く広まれば広まるほど、イスラエルはエジプトとの和平条約を維持する必要性から、ガザを攻撃する衝動を抑えるものと思われていた。しかし、テルアビブ近辺に予備兵を招集し、ミサイルを集積している今、この仮定が打ち壊されようとしている。

 今回の事態は、すでにひとつの外交的結果をもたらした。ガザ包囲攻撃の開始以来初めて、エジプト首相ヒシャーム・カンディールが金曜日にガザを訪問する予定だ。エジプト大統領でありムスリム同胞団メンバーであるムハンマド・ムルシーが憤慨するのはもっともだ。彼は、彼の視点からすれば、大統領任期の初期からイスラエルとの衝突を回避するためにあらゆる努力を行った。彼は、イスラエル攻撃にシナイ半島を利用した武装組織に対する作戦を指揮し、国境のRafahからガザに通じるトンネルを封鎖し、ガザとの国境の通行可能時間を制限した。これらは、宗教に対するプラグマティズムの勝利だ。これにより、悪意に満ちた政治が影を潜めたからだ。

 マルシー大統領の背後には、イスラム教徒と宗教に無関係な人たちの両方による、アラブ諸国の民衆による反イスラエル感情の激しいうねりが存在する。しかし、イスラエルの外交官たちは、カイロで暴徒から救出された当時、それらの感情にほとんど無関心であった。ムルシー大統領が、イスラエルとの協定のパンドラの箱を開けないよういかに努力しようとも、今や彼はそれを開けざるを得ない方向に押しやられている。

 アラブの春は、中東地域を戦火、すなわちアラブ対イスラエルの衝突に巻き込むことを回避した。だがイスラエルの行動は、その戦火を中東の中央舞台に直に引き込んでしまった。(終)


(* 本文中の(※)は管理人による注記)

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