* 安倍新政権に対する海外メディアの反応 (英国紙The Guardian)

英紙「ザ・ガーディアン」のweb版トップページに掲載された、安部新政権の誕生に関する記事を紹介します。日本国内ではオブラートに包まれたような報道ですが、さすがに海外メディアでは容赦なく冷静に分析されているようです。
the gardian
Japanese hawk's election victory prompts fears of regional tension
「日本タカ派政党の勝利、極東不安高まる」
Justin McCurry in Tokyo
The Guardian, Sunday 16 December 2012 17.22 GMT


 日本の衆院選におけるタカ派政党の勝利を受け、東アジア圏は来たる緊張と衝突の時代の到来を警戒している。安倍晋三氏が公約通り領土問題への強硬姿勢を貫くならば、日曜日の自民党の圧倒的勝利は対中関係をさらに悪化させるだろう。3年前、民主党に与党の座を追われ、50年にわたる与党独占時代に終止符が打たれた自民党は、昨日、劇的な政権カムパックは果たした。

この6年間で通算7代目の首相となることが確実視されている安倍氏は、東シナ海領土問題における中国政府の攻撃的な方針と北朝鮮の弾道ミサイルへの脅威に対抗するため、日本の軍事力の強化を誓った。安倍氏が選挙中の公約を実行し、日本に実効支配されているものの中国もその領有を主張している尖閣諸島(中国では釣魚島と呼ばれる)周辺海域の漁業と建設を推し進めるならば、中国政府の猛烈な抗議は避けられまい。

日本政府が尖閣諸島を個人所有者から買い受けたことを発端に、中国のデモ参加者達が日本企業を攻撃した1ヵ月後に、今回の選挙が実施された。中国の新華社通信は、今回の選挙に象徴されるように、日本が右翼的な方向にシフトしつつあるが、その傾向に流されないようにと日本に警告する。「経済的に弱体化し、政治的には右的な方向に転換した日本は、日本そのものを損なうだけでなく、アジア圏および世界全体を傷つけてしまうだろう」と新華社通信は続ける。「第二次世界大戦でアジア諸国を傷つけ荒廃させた日本が、現在の右翼化傾向を早々に食い止めなければ、隣国達はさらに日本を警戒するだろう」

安部氏は2007年、わずか1年で首相職を辞任したが、在職中の初期に日中関係修復のために北京を訪問した。政治アナリストの中にはこの事実を引用し、安部氏が今後、日本最大の貿易パートナーである中国に対し、懐柔的な政策をとると予測する者もいる。
一方、チャットハム・ハウスのアジア研究員ジョン・スウェンソン=ライト氏は、次のように分析する。「安部氏のあらゆるナショナリズム的傾向を考慮するに、彼が前回よりも長く首相の座に留まり、じっくり外国問題に取り組むつもりならば、彼は今回こそはより実用主義者であろうとするに違いない」

上智大学政治社会学部の中野晃一教授は、「安部氏は自らの党の圧力により、タカ派的な政策を実行するだろう」と予測する。「安部氏は選挙中、“首相時代に穏健な中国政策を行ったことを後悔している”と言っていた。今回が彼にとって最後のチャンスだ。ならば、彼は首相在任中に自らの意見をトーンダウンさせるような人物だろうか。それとも、信念を貫く政治家として、突き進むだろうか。わたしには、彼が後者の道を進むように思われる」「自民党の右派グループは、安部氏を党首に指名した。安部氏には、自らの党を統率するだけのリーダーシップもなければ、その素質もないと思われる。自民党が彼を党首に選んだのは、彼が意のままになる人物だったからだ」

勝利の後のテレビインタビューで、58歳の安倍氏は、「何よりもまず、日本の経済を復興させ、日本をデフレから脱却させる」と述べ、経済の立て直しを優先すると発表した。ここ3年の日本の経済は非常に憂慮すべき状況にあり、それが彼の最優先事項だ。
「我々は、アメリカとの同盟関係を強化し、同時に尖閣諸島が日本の領土であるという事実に何ら変わりがないという確固たる信念のもと、中国との関係を改善しなければならない」(中略)

安倍氏は、日本の軍事力をより強化するために憲法改正を支持している。また、昨年の福島第一原発のトリプルメルトダウンを受け、野田前首相が決定した2040年までの原発全廃を覆す考えだ。安倍政権の下で、日本は公共工事予算増加という、まさに古い保守的政権への回帰を果たそうとしている。

今回の選挙では、その無遠慮な物言いで知られる前東京都知事・石原慎太郎氏率いる極右グループ「日本維新の会」が第三の勢力として出現し、40から61議席を獲得すると予想されていた。一時は、「維新の会」が民主党を追い抜き、第二政党として国会の黒幕として活躍するとも言われたが、蓋を開けるとその影響力はそれほどでもなかったようだ。だが自民党は、憲法改正の際には---中国と韓国の敵意をさらに刺激するだろうが---石原氏の力が必要になると述べている。(終)

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