【ルモンド記事】リビア事態悪化とEUの責任


久しぶりにルモンド記事の邦訳です。懸念されるリビアの現状。

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”L'Europe face au désastre qui s'installe en Libye”(原文)
  2013/10/15 | Éditorial | Le Monde |
 「 EU、リビアで常態化する治安悪化に直面 」 | ル・モンド紙  |  
 

10月10日から11日にかけてトリポリの真っただ中で武装集団に誘拐され、数時間監禁されたリビア首相アリー・ゼイダーンは、「クーデターの陰謀だ」と告発した。アリー・ゼイダーンは有能で勇気ある人物だが、すこし誤解しているようだ。クーデター(Coup d’État)を起こすには、政府(État)が必要だが、カダフィ大佐による独裁政権の崩壊から2年経った今、リビアにはいまだ中央政府が存在しないのだから。

今やリビアは武装集団の餌食になっている。イタリア首相エンリコ・レッタは今週、リビアは「ほぼ爆発状態」だと述べた。各地方、あるいは部族ごとの戦闘集団に配置された20数万の武装した民間人のせいで、リビアはますます深刻な治安悪化に陥っている。行政機関に圧力をかけるため、武装集団は強奪、誘拐、麻薬と武器の取り引きを行い、都市の水道と電気を切断し、外交任務への攻撃を繰り返している。その結果、外国人投資家達はリビアを去り、さらに悪いことにリビアの唯一の財源である石油の輸出がストップしてしまった。リビアはアフリカ最大の石油埋蔵量を誇る国であるにも関わらず、炭化水素を輸入している始末だ。

リビア首相が誘拐される2日前、公金を要求する武装集団により、首相府の執務室が占領・略奪された。この事件には、イスラム原理主義の傾向が強いもうひとつの武装集団の不満が関与している可能性がある。この武装集団は、アブ・アナス・アルリビが10月5日にトリポリで逮捕されたのは、アリー・ゼイダーン首相が米秘密警察に暗黙のゴーサインを与えたからだと非難している。アブ・アナス・アルリビ容疑者は、1998年に発生した在ケニア米大使館と在タンザニア米大使館でのテロ事件に関与した疑いで、アメリカが指名手配していた人物だ。彼は逮捕後、ニューヨークに移送された。

「不法移民」

しかし、これらの災難は、人口わずか600万人の、かつていかなる権力であっても地方統治主義を排除することが出来なかったリビアでの、中央政府の不在を印象づけている。カダフィ大佐による過酷な独裁政権時代(1969年~2011年)では、唯一の戦闘部隊であったカダフィの無規律な兵士達と、カダフィの部族のみが、残忍なカダフィの気まぐれのままにリビアを支配していたのだ。

アメリカ、フランス、そしてイギリスはカダフィ政権の崩壊に寄与してはいないが、だからといってリビアに無関心を装っていいのだろうか。答えは「ノン」だ。リビアに軍事介入することが、崩壊「後」に起きることの責任の一部を負担することと言えるだろう。

ヨーロッパはリビアの現状に最も関係が深い。なぜなら、今リビアで最も繁盛している商売の一つが、不法移民ビジネスだからだ。武装集団は、サハラ砂漠以南のアフリカからリビア経由で国外逃亡を企てる人たちの手引きをする犯罪者ネットワークを支配している。かかる状況下で、EU、またリビア自身も、これらの移民ビジネスの防止に乗り出した。我々ヨーロッパは、我らの北アフリカ市場に、ソマリアのような混沌を定着させるわけにはいかないのだから。

以上
 ( 拙訳 : 管理人 )

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