【ルモンド記事】サルコジ前大統領を脅かすカダフィの亡霊(前編)

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オランド大統領がフランス第五共和国史上で最低の支持率を更新している中、誰よりもにんまりしているのが前仏大統領ニコラ・サルコジではないでしょうか。2012年の大統領選挙でオランドに敗れ、逆ギレ気味に政界引退宣言。ところが、世界各国を回る華やかな講演生活にも飽きたのか、あの手この手で政界(=大統領)復帰のタイミングを狙ってます。そんなサルコジさんを脅かすリビアの影、忍び寄る司法の手。すこし前のル・モンド紙の記事を紹介します。


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Ces ex-dignitaires libyens qui inquiètent Sarkozy”(原文)
  2013/04/06 | Éditorial | Le Monde |
 「 サルコジ前大統領を脅かす旧リビア政府高官たち 」 | ル・モンド紙  |  
  (*)は訳者による注釈  
 

2011年にカダフィ政権打倒の勝利をもたらしたフランス=リビアの関係は、2013年、ニコラ・サルコジ前大統領を脅かす存在と化した。パリ裁判所の2人の判事が、この国家問題を様々な側面から調査中だ。判事らはいずれ、サルコジ陣営が当時恩恵を受けた疑惑の政治資金援助について事情を知るリビアの旧政府高官を証人尋問することになるだろう。

ムアンマル・カダフィ体制時代にカダフィ大佐のフランスにおける著名な弁護士であったマルセル・セカルディ氏は、2007年のフランス大統領選挙でカダフィ大佐からニコラ・サルコジに流れたと推定される選挙運動資金について捜査を担当するセルジュ・トゥルネール判事とルネ・グルマン判事にひそかにコンタクトを取った。この捜査は、ジアード・タキディーヌ氏(*)による大々的な告発---確かな証拠で固められたものでないとはいえ---を契機に開始された。タキディーヌ氏の告発自体も、カダフィの息子の一人サイフ・アル=イスラームの2011年3月の発言がきっかけとなっている。

タキディーヌ氏の弁護士でもあったセカルディ氏は、2011年春のリビア内戦時に国外逃亡した4人のカダフィ政権幹部を証人として出廷させるよう、判事に提案している。この4人の旧政府高官らは、フランスの政治家達がリビアから享受した疑いのある政治資金援助の流れについて知っていると見られる。

 「インターポールの国際指名手配書(赤手配書)」

この4人のリビア政権幹部とは、インターポールによって国際指名手配が出されている、カダフィ政権の元幹部で南アフリカに亡命中のバシール・サレハ(Bachir Saleh)容疑者、カダフィの元政治顧問でニジェールに亡命したアブダラー・マンスール容疑者、旧カダフィ軍幹部でアルジェリアに逃亡中のアブデルハフィド・マスード容疑者、レバノンに亡命中のリビア民間飛行機会社の元社長サブリ・シャディ容疑者だ。

セカルディ弁護士は、彼らを証人として召喚するにあたり条件を付した。すなわち、この4人はあくまで匿名の証人として喚問されること、よって、仏政府はこの4人の逮捕を事実上可能とするインターポールの赤手配書(国際指名手配書)を執行しないこと、である。この4人の証人によって、ニコラ・サルコジ前大統領の選挙運動資金に関する疑惑が証明される可能性がある。

とはいえ、セカルディ弁護士は、2012年4月にフランスのメディアパート(Mediapart)が報じたサルコジの選挙運動資金疑惑については反論している。彼は、メディアパートの報道を「お粗末な嘘に過ぎない」という。メディアパートが掲載した覚書(*)は、それに署名した人物本人による確認がひとつも取れておらず、逆にサルコジに訴訟を起こされている。

 「旧カダフィ側近に待ち受けるのは、刑務所か、逃亡生活か、死か」

本捜査には、フランス社会党(PS、現与党)も関係している。2012年、フランスの情報機関である国内情報中央局(DCRI)は、2007年のカダフィ陣営によるフランス社会党への政治資金援助に関する不確かな情報を得た。前DCRI局長ベルナール・スカルチーニ氏によると、「カダフィ陣営に近い人物が約束もなく訪れ、(社会党への資金援助について)500万ユーロ相当であったと言及した。対外治安総局(DGSE)に報告した」という。

 「サルコジ陣営が恐れるバシール・サレハ容疑者」

カダフィ大佐からサルコジ陣営へ流れた(とされる)選挙運動資金は、ロラン・デュマ氏元大臣が仲介を務めたと見られるが、デュマ氏はルモンド紙の報道に対して断固否定し、こう述べた。「私は2011年、弁護士としてカダフィを弁護するために金を受け取った。私がリビア当局から授受した金はそれだけだ」
 サルコジ陣営は、この事件のキーパーソンであり、カダフィ政権の闇資金の流れを把握するバシール・サレハ容疑者の言動を固唾をのんで見守った。バシール・サレ容疑者は、アレクサンドル・ジューリ氏(*)の仲介で2011年11月23日にチュニジア経由でフランスに到着した。バシール・サレハ容疑者のフランス滞在については、ニコラ・サルコジの側近であるベルナール・スカルチーニ前DCRI局長が面倒をみたと見られる。


後編へ続く

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 キーワード & 訳注 
①ジアード・タキディーヌ氏(Ziade Takieddine)・・・
フランス政界人の様々な国際金融取引を仲介するレバノン系フランス人実業家。特に2005年から2007年にかけて、サルコジの側近と共に、サルコジ=リビア間の交渉役を務めた。
②メディアパートが暴露した覚書・・・トリポリで、カダフィ側とサルコジ陣営、仲介者間で交わされた、リビアがサルコジ陣営に5,000万ユーロ(約65億円相当)を供与することを記載したアラビア語の覚書。出席者の署名がなされている。
③アレクサンドル・ジューリ氏 (Alexandre Djouhri)・・・本名、モハメッド・ジューリ。仏政界の大物フィクサー。ジアード・タキディーヌと同業者でもあり、互いに敵視している。仏政界の「影の男」と呼ばれる。

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