【ルモンド記事】サルコジ前大統領を脅かすカダフィの亡霊(後編)

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前編からの続きです。

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Ces ex-dignitaires libyens qui inquiètent Sarkozy”(原文)
  2013/04/06 | Éditorial | Le Monde |
 「 サルコジ前大統領を脅かす旧リビア政府高官たち 」 | ル・モンド紙  |  
  (*)は訳者による注釈  
 


 「幾重にも守られているバシール・サレハ容疑者」

 我々ルモンド紙は、2012年2月7日付の2つの「軍事機密」文書の中で、スカルチーニ前DCRI局長がパリ警視総監に宛てて、サレハ夫妻に有利になるような取り計らいを頼んだことを把握した。「サレハ夫妻に6ヶ月間の暫定滞在許可証を発行して頂きたい」と、反諜報機関の前局長(スカルチーニ)は書簡に書いている。事態は速やかに動いた。すなわち、翌日2012年2月8日、パリ警視庁のジャン=ルイ・フィアメニ局長は、警視総監に「夫妻に6ヶ月間の暫定滞在許可証を発行して頂きたい」と書いて送った。

 それ以前の2011年8月、すでにDGSE(対外治安総局)は海軍の秘密作戦に乗じ、サレハ夫人と子供達をリビアから脱出させている。スカルチーニ前DCRI(国内情報中央局)局長は、サレハ容疑者のフランス滞在の便宜を図ったことについては否定していないが、サルコジ前大統領に関する重大な秘密を握る人物を守ったことについては反駁している。「サレハ氏はフランス大統領府の外交室とリビア国民評議会(CNT)(*リビア内戦中に反カダフィ勢力によって形成された暫定政権)の仲介役を務めた。彼は内戦を未然に防ぐために貢献した。」スカルチーニ前DCRI局長は、「バシール・サレハに3回会いに行ったのは、フランス外務省に頼まれたからだ」と言う。ところが、バシール・サレハは機密保持の約束を守らず、仏国内で本件に言及し、脚光を浴びた。「サレハを呼び出し、“もし約束を守らなければ、フランスを追い出されるぞ”と諭すべきだった」とスカルチーニは後に述べている。

 フランス国内情報中央局(DCRI)に一挙手一投足を監視される中、サレハはパスポートを入手するためドバイ政府とコンタクトを取り(彼はすでにニジェールの外交官パスポートを有していた)、カダフィ大佐の息子のイスラエル人弁護士に連絡し、2011年末にはガルシュ(仏オー・ドゥ・セーヌ県)に不動産を購入しようと試み、2012年4月、キャリエール・シュル・セーヌ(仏イヴリンヌ県)で当時のチュニジア独裁者(ベン・アリ)の娘ネスリーヌ・ベン・アリと出会い、ミシェル・スカルボンチ元EU議員(PRG党)のコルシカ島の家を訪れている。

 スカルチーニ前DCRI局長によると、これらのすべての記録はDCRI(フランス国内情報中央局)、DGSE(フランス対外治安総局)、フランス外務省、そしてフランス大統領府外交室によって保有されている。当時のアラン・ジュペ外務大臣の官房長だったジェローム・ボナフォン氏がサレ案件を管理するようスカルチーニに依頼したという。ルモンド紙の質問に対し、ボナフォン氏は「サレハ事案について全く記憶にない」と述べた。2012年4月28日、大統領選挙の真っただ中でメディアパートが暴露したサルコジの選挙運動資金疑惑は国家首脳をパニックに陥れた。

 「模範的行動証明書」

 サルコジ陣営は、バシール・サレハが逮捕され、真相が暴露されることを恐れているだろうか?いずれにせよ、国内情報中央局(DCRI)によると、バシール・サレハは、2012年5月3日、すなわち仏大統領選の第2回目投票の72時間前、例の大物フィクサー、アレクサンドル・ジューリ氏(*)(我々ルモンド紙は彼にインタビューを試みたが拒否された)の口利きでプライベート・ジェットをチャーターし、ル・ブルジェ空港(パリ郊外)から国外脱出した。その日からさかのぼって4月29日、サレハはピエール・アイク弁護士を通じ、サルコジの選挙資金疑惑に対する関知および関与を否定する声明を発表した。アイク弁護士は、誰かに指示を受けて声明を発表したのではないと述べた。「私のクライアントである、トーゴ大統領顧問シャルル・デバッシュ氏に2012年初め、フランス国内でのバシール・サレハの逮捕状の件をなんとかしてやってくれと依頼され、それに従った。サレハ氏は5月に失踪し、それ以来彼から二度と連絡はない。」

 その間、ピエール・アイク弁護士はジューリ氏と懇意の仲であるドミニク・ドヴィルパン元外務大臣からサレハの模範的行動証明書を入手した。ドヴィルパンが書いた2012年4月2日付の証明書には、「バシール・サレハ氏は、2011年の春から夏にかけて、リビア関係者との間で合意にこぎつけるための交渉に複数回参加した」と書かれている。

(終)

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 キーワード & 訳注 
アレクサンドル・ジューリ氏 (Alexandre Djouhri)・・・
本名、モハメッド・ジューリ。仏政界の大物フィクサー。ジアード・タキディーヌと同業者でもあり、互いに敵視している。仏政界の「影の男」と呼ばれる。

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