【ルモンド記事】コンゴ民主共和国(DRC)大統領選挙:政治危機と混乱は回避できるか?

image by © Le Monde
コンゴ民主共和国 ジョゼフ・カビラ大統領



”A l’expiration du mandat de Joseph Kabila, Kinshasa retient son souffle”(原文)
2016/12/19 | Afrique | Joan Tilouine | Le Monde |
 「 ジョゼフ・カビラ大統領の任期終了、コンゴ民主共和国は固唾を飲んで見守る」 | ル・モンド紙  | ジョアン・ティルインヌ |
  (*)は訳者による注釈  
 

本日をもって、ジョゼフ・カビラ大統領の任期が終了した。カビラ大統領は大統領選挙の延期(*)を繰り返し、国は混乱の危機に直面している。

キンシャサでは、コンゴ・カトリック教会が提案した最後のチャンスとなった調停で、大統領の多数派から合意を得られなかった野党勢力が騒ぎ、民衆を決起させると息巻いている。一方で、カビラ大統領は沈黙を守っている。12月19日月曜日、ジョゼフ・カビラ大統領の二期目の大統領任期は満期を迎えた。カビラは2001年に暗殺された父の後を継ぎ、21歳で権力の座に就いた。カビラ大統領は国を混乱に陥れるリスクを顧みず、大統領選挙の延期を企てた。

今年5月、憲法院は、コンゴ人がいうところの「横すべり」、すなわち、カビラ大統領が次期大統領選まで国家元首の座を維持することに有利となる決定を下した。口数の少ないカビラ大統領であるが、8月にウガンダのカンパラを訪問した際、この件に関して次のように漏らした。「有権者の登録が可能となり次第、大統領選を実施するだろう」と。彼は英語で話し、この発言が(*フランス語またはコンゴ民の現地語に)通訳されるのを拒んだ。3ヶ月後、国民に向けては次のように宣言した。「憲法は過去に一度も違反されておらず、よっていかなる条項においても遵守されるべきである」

東部を武装勢力に侵食され、原料価格の激しい変動によってさらに激化した貧困に蝕まれたアフリカ最大のフランス語圏であるコンゴ民主共和国の国民と有権者の数については、国勢調査が実施されていないため全く不明である。首都キンシャサの野党が優勢を占める巨大な下町では、若者たちが怒りを示すべく12月19日にデモを実施し、各大都市にすでに展開中の治安部隊に立ち向かうことも厭わないと言っている。

沸騰寸前のキンシャサ

大統領の党である再建民主人民党のアンリ・モヴァ党首は、「国民総選挙によって選出された大統領が退任するのは初めてであり、選挙に必要なすべての条件を整え、最適な環境下で総選挙を行いたい」と正当化する。しかし、キンシャサは今や沸騰寸前であり、教会の後押しにより与党と野党間でようやく実現した最後のチャンスである交渉によりコンゴ全土が麻痺し、固唾を飲んで見守っている。12月19日に起こりうる暴動に備え、海外からの投資は停止され、金持ちや外国人駐在者はコンゴを脱出し、各大使館は職員を退避させた。

複雑かつ不安定であるこの大陸国のトップの座に居座るため、ジョゼフ・カビラ大統領は策を弄し、権力を用いた。その最新の策略は11月17日に遡る。1ヶ月前に合意した通り、アフリカ連合教会で開催された野党勢力と民事組合の話し合いの場において、ジョゼフ・カビラは自らの任期を2018年4月まで延期することと引き換えに、野党出身の首相を任命したのである。

ジョゼフ・カビラ大統領は、84歳の不屈の反対派エティエンヌ・チセケディ(Étienne Tshisekedi)率いる民主社会進歩連合(UDPS)出身であるサミー・バディバンガ(Samy Badibanga)議員を首相に任命し、国民を驚かせた。(以来、サミー・バディバンガはチセケディとは距離を置いている)これは、反対派に亀裂を生じさせ、バディバンガ氏とチセケディ氏の出身地である、カサイ州(コンゴ中央部)の有権者を引きつけ、野心家のヴィタル・カメレ氏(Vital Kamerhe)を排除するための策だ。

カメレ氏は反対派に賛同する以前は、2006年の初めての民主的選挙においてジョゼフ・カビラの選挙事務局長であり、その見返りとして2009年まで衆議院議長を務めた。カメレ氏は自身が首相に任命されるものと確信していたが、ジョゼフ・カビラは裏切り者を絶対に許さない。以降、(首相となった)サミー・バディバンガは沈黙し、コンゴ民主共和国は1ヶ月前から政府が機能していない。

「パワーバランスを見誤った反対派の寄せ集めの中で、カビラは今でも最強なのだ」と、欧州の外交官は分析する。コンゴ民主共和国の反対派のトップ達の多くは、ジョゼフ・カビラのかつての支持者または協力者であり、カビラのおかげで昇進し、また時には財を成した者たちだ。3月に中央政府によりオート・カタンガ州(南東部)知事に任命されたジャン=クロード・カゼンベ(Jean-Claude Kazembe)が州議会により承認されたのが良い例だ。

非難されるのけ者

鉱山に恵まれたオート・カタンガ州の州都ルブンバシでは、州知事が自身が治める州を飾り立てている最中だ。彼の前任者であり、ジョゼフ・カビラの支援を受け、長年にわたりカタンガ州の絶対的な支配者であった大金持ちのモイーズ・カツンビ(Moise KATUMBI)を忘れさせたいのだ。しかし、「モイーズ」は準備不足のまま、おそらく急ぎすぎてしまったのだ。彼は反対陣営に寝返り、5月、カビラに対抗し大統領選に立候補することを宣言した。以来、カツンビはカビラ大統領を躊躇なく批判している。カゼンベ現州知事は、「カツンビの人気は表面的に過ぎず、欧州の側に立ってコンゴ民主共和国に説教するとは恥を知れ」と話す。こうしてカツンビは打ち倒すべき人物となった。

身体的な脅迫を受け、国家安全の侵害と不動産横領の容疑により犯罪捜査の対象となったカツンビは、国外に出る他なかった。キンシャサでは、政治集会の機会にUDPSに賛同したカツンビの支持者が、カトリック教会が用意した話し合いの場で、カツンビが国に戻れるよう交渉を試みた。

隣国及び経済パートナーである中国からの密かな支援にも関わらず、45歳になったジョゼフ・カビラ大統領は現在、孤立し、袋小路にいるようだ。かつてジャック・シラクとジョージ・W・ブッシュにかわいがられたカビラは、今や欧州の外交官から誹謗されるのけ者となった。欧州の外交官らは、カビラが憲法を改正することなく大統領を辞任する意思があることを示すべきだと、何度もコミュニケを発表している。

アメリカとEUは、カビラ体制の上位を占める責任者らに対する制裁を採択した。しかしカビラは動じず、明確な発言を避け、曖昧な態度を続けている。一方で、彼の側近たちは12月19日に起こりうるあらゆる集会を警戒し、万が一集会を開いた場合の制裁が激しいものとなると匂わせている。国連によると、すでに9月19日、反対派が呼びかけたデモ参加者53人が殺害された。今回は、当局は大規模な安全対策を計画し、すべての集会を禁止し、反対派と活動家を大量に逮捕し、サッカー大会を中止し、インターネットの接続切断を理由にソーシャルネットワークを遮断した。かつて2度しか民主的な大統領選挙を経験したことのないコンゴ民主共和国は、3回目にして国の指導者を選ぶために戦っているのである。
(終)

*   *   *   *   *   *   *   *


 キーワード & 訳注 
コンゴ民主共和国(DRC) では、憲法により大統領の任期は最大で二期までであり、三選を禁じている。

0 Comments

Leave a comment