*仏内相ニコラ・サルコジは,去るか,残るか?

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今日は,XY新聞さんという方からリクエストを頂いたル・モンドの記事を紹介します。『 抄訳で 』,とおっしゃってくださったのですが,結局,全訳になってしまいました。長くて読みづらいかもしれません。ごめんなさい・・・。
      * * * これまでのあらすじ * * *
フランス首相ド・ヴィルパンがシラク大統領と共謀して,内務大臣かつ与党UMP党首でもあるニコラ・サルコジを失脚させようと企てたのでは?・・・というのが,クリアストリーム事件。事件は非常に複雑で真相はまだ闇の中だけど,サルコジ派内では,『こんな内閣には見切りをつけ,早々に内務大臣を辞職し,2007年の大統領選に備えるべきだ』との声が強く,サルコジはまんざらでもない様子。(会見では,きっぱり否定していますけど)というわけで,以下のルモンドの記事に続きます。(すごく長いです!!)  
                        *       *       *
内閣から去るか,残るか。もし,『ウイ』(残る)ならば,どのポストで,どんな条件で残るのか?内務大臣(サルコジ)の友人の何人かは,彼に一刻も早く内閣から離れるよう忠告している。

ニコラ・サルコジの沈黙に,彼の取り巻きは立場を決めあぐねている。ボヴォー広場(*訳注:内務大臣官邸のこと)と,ラ・ボエティ通り(*注:UMP=与党国民運動連合本部の所在地)のスタッフは,『サルコジは今日の午後,カルーゼル・ドゥ・ルーヴルで開かれるUMPの集会に際して,声明を発表するだろう』とコメントするにとどまった。要するに内相は,4月28日にコルシカ島で,内閣の去就について報道陣に答えたことと同じ内容を繰り返すものと思われる。つまり,『今はその時期ではない。今は,司法が決断を下す時だ。』しかも,これは昨夜マティニヨン邸(*注:首相官邸)で45分間にわたって行われたドミニク・ド・ヴィルパン首相との会見中,内相が述べた言葉でもある。

去るか,残るか。もし,『ウイ』ならば,どのポストで,どんな条件で残るのか?ニコラ・サルコジはこの疑問について,今日は答えを出さないだろう。だが,一週間前から様々な人たちが,それぞれの分析と助言を披露している。
『(*この件に関して)匿名の政治アドバイザー達があちこちで口を出すべきではない。マティニヨン(*注:ド・ヴィルパン首相)のことを褒めそやしたその口で,翌日には内閣を去るべきだ,などと発言するのはいかがなものか。』と,とある生え抜きのサルコジ派議員は立腹する。サルコジの(公的な)政治顧問であるピエール・メエニュリーは,このいらだちに同調している。『もし実際に非難すべき新たな要素があるならば,”何か”をすべきではある。しかし今のところは,沈黙は金である。』

---ジェゴ氏:『この不快な空気から抜け出すために』---

”何か”。しかし,それは何なのか?セーヌ・ドゥ・マルヌ県議員であるイヴ・ジェゴ氏は,とまどいを隠さない。『わたしは,どういう立場をとるべきか決めかねている。(*クリアストリーム事件の)犠牲者(注:*サルコジのこと)がポストを譲らなくてはいけないのは矛盾だろう。だが同時に,この不快な雰囲気から抜け出すために,政治的な手本を示さなければならない。』 
ニコラ・サルコジに対する世論の専門家であるマニュエル・アシュリマン氏にとって,その手本はすでに示されている。彼は昨日,ユーロップ・アン(*注:フランスのラジオ局)で明確に断言している。『純粋な戦略的見解からすれば,今,彼(*注:サルコジ)は(*内閣を)去ることは出来る。だが数カ月前は,そうではなかった。』
一方,アニエールの市長は,彼のボス(*サルコジ)が内閣を去るか否か迷っていることについて,慎重に言葉を選びながら説明した。なぜなら,『彼(*注:サルコジ)は行動の人であり,国会で通過させるべき法案がある。』からだ。
『今日(こんにち)UMP党内で起きていることは,パトカーの回転灯よりも更に彼(*サルコジ)を奮い立たせている』(*注:パトカーの回転灯は,内相がしばしば警察を用い,強行な手段に訴えることを指している)と,ロジェ・カルーチは含みを持たせる。UMP党首(*注:サルコジ)の側近であり,連合の共同責任者でもある彼は, 『党への加入者の増加それ自体が,彼が内閣を去ることを強力に煽動している』と断言する。彼は電卓を手にして,クリアストリーム事件とCPE(*注:セーペーウー=若年者雇用法案)危機の総決算をする。『メーターが振り切れてしまうよ。一日平均で,1200人以上が入党しているペースだからね。これでいくと,年末には30万人を超えるだろう。』
 UMPのもうひとりの政治顧問であり,ムーズ県の上院議員でもあるジェラール・ロンゲ氏は,『この危機から抜け出す唯一の方法は,内閣が現大統領のそれではなく,多数派(*注:サルコジ派のこと)で構成されるべきだ』と述べたが,ニコラ・サルコジがその新内閣に参加するか否かへの言及は避けた。

 もし仮に---今のところはあり得ない話だが---,内閣のナンバー2(*注:サルコジのこと)が,自分の決断をジャック・シラクに押しつけることが出来るならば,サルコジ派は政府とUMPの決裂を回避する解決方法を考え出すだろう。特にバラデュール派は,右派の有力な大統領候補(*注:サルコジ)が内閣を去り,彼の親友であり現・地方自治体代表大臣(?)であるブリス・オルトフゥー氏に内相の座を託すことが可能である,と提案している。こうすることによって,ニコラ・サルコジは今までどおりボヴォー広場(*注:首相官邸)を手中に収めながら,自由自在に操作することが出来るのだ。UMPのパトロン(*注:サルコジのこと)は2005年6月,ライバルの陰謀に備えるための必要性から,内相の地位に再び返り咲くことを正当化した。『わたしはUMPの党員の中にいるよりも,内務省にいる方が自分をより守ることが出来る。』首相官邸の30年来の親友の存在によって,彼は(* 実質上,)2つの地位を兼任できることになるだろう。
*記事中の(*注:)または(*)内の説明は,管理人が勝手に補足したものです。これを全部読み終えた方,スゴイです~。おつかれさま!!

いろんな思惑や憶測が飛び交っているようですが,さすがサルコジびいきのル・モンド。『サルコジ=クリアストリーム事件の犠牲者』という構図を見事に描き出しています。サルコジ自身が被害者としてインタビューや会見に答えているのは当たり前だけれど,メディアは公平な視点から情報を提供すべきじゃないかな・・・。メディアは多角的視野に基づいた判断材料を提供するものであって,最終的に判断するのはわたしたち読者であるべきだと思うから・・・。XY新聞さん,稚拙な訳ですが参考になりましたら幸いです。

8 Comments

shikahiko  

サルコジ氏にとっては、今のところ法務・警察権力に権限を発揮できる内務相に収まっているほうが都合が良いのではないだろうか。野へ下るのはそれなりにカッコよいけれど、公権力の魅力と権限は
強大だものね。「UMPの党員の中にいるよりも、内務省にいるほうがより自分を守ることができる」のだから(^^)

2006/05/21 (Sun) 14:04 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-257 to: shikahikoさん

敏彦さん,こんばんは。

そうそう,おっしゃるとおりだと思いますi-265
サルコジは,警察権力が大好き(笑)だし,
内相であるからこそ,ここまで脚光を浴びることも出来るのですもの。
与党の党首だけじゃ,こうはいかないですものねi-278

大統領候補としては,このまま内相の座に居座った方が得策でしょう~e-278

2006/05/21 (Sun) 20:09 | EDIT | REPLY |   

ちぇぶ  

読みました…長かったぁ~(笑)お互いにお疲れ様^^ふふふ『沈黙は金』かぁ時としてそれも大事ですよね。

2006/05/22 (Mon) 23:34 | EDIT | REPLY |   

XY新聞  

全訳ありがとうございました。
また全文読ませてください。
至急御礼まで。
PC調子悪く、週末見えませんでしたので。
ちなみに訳していただいたフィガロ紙06.5.13号P8からでした。

2006/05/23 (Tue) 00:44 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-77 to: ちぇぶさん

うわー・・・ちぇぶさん,ツワモノ!!(笑)

全部読んでくださったのですね(>_<)
うれしいです~。ほんとにお疲れさま!

とくに最後の方,直訳っぽくて読みづらかったでしょう?ごめんなさい・・・i-230
『沈黙は金』って,フランスでも言うのですね☆

2006/05/23 (Tue) 01:05 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-39 to: XY新聞さん

こちらこそ,よい機会を与えてくださって
ありがとうございました。
PCの調子が悪いのに,わざわざコメントくださって恐縮です。

稚拙な訳で恥ずかしいのですが,
お時間がある時にでも読んでいただければうれしいです。

2006/05/23 (Tue) 01:10 | EDIT | REPLY |   

XY新聞  

全文読みました。サルコジ氏の戦略がよくわかりました。
日本の新聞にこれほど一政治家の進退が事細かに載るのは
ありえないなと思ったのが1つと新聞の字が小さいせいも
あろうが記事の内容も濃いなと思った。
フィガロ紙がサルコジ氏を応援しているのかは不明だけど、
世論を誘導しやすい気もした。

2006/05/27 (Sat) 22:38 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-39 to: XY新聞さん

お疲れさまでした。

今回の事件で,サルコジがここまで注目されているのは
大統領選が迫っているからでしょうね。
シラクは,さすがに次回で再選を狙うとは思えないので,
サルコジが最有力候補(のひとり)である今,
彼の一挙一動が注目されているわけです。

もしサルコジが大統領に選ばれたなら,
フランス史上初めて,フランスの名前ではない大統領が誕生することになりますが,
さてさて・・・?e-277

2006/05/29 (Mon) 21:49 | EDIT | REPLY |   

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