*ルモンド社説 --イスラエル=レバノン紛争 ①--


主要国(G8)首脳会議(サンクトぺテルブルク・サミット)中,日本メディアは北朝鮮問題のことばかり話題にしていたけれど,国際的には今回の主要議題はレバノン=イスラエル紛争だった。アメリカでプレスリーの物まねをして大はしゃぎして,ロシアでブッシュと脳天気にフォークダンス踊ってる,どこかの国の首相には心底愛想が尽きた。そんなわけで(?),今日は,最近切れ味のいいル・モンドの社説を紹介:
Irresponsabilités
LE MONDE | 15.07.06
© Le Monde.fr

『無責任---イレスポンサビリテ---』


イスラエルがレバノンを空爆して4日目。シリアとイランは防御態勢にあり,アラブ界の世論は加熱し,イスラエル人達は北側の国境から発射されるミサイルに曝されている---中近東における,制御不可能な戦闘規模の段階的拡大へ,すべての要素が揃ってしまった。7月14日の国連とG8で示された,気休め程度の素描が解決への無意味な試みではなかったとしても,国際社会が今ほど無力だったことはない。それが,イスラエル=パレスティナ紛争に対して長年無関心を決め込んできた代償なのだ。

なぜなら,その紛争が現在の悲劇を引き起こしたからだ。レバノンのシーア派過激派組織エズボラは,パレスティナのイスラム武装派組織ハマスを支援するために,国境でイスラエルの兵士2人を拉致し,挑戦状を叩きつけた。ガザ地区での紛争が今回のレバノン危機を引き起こしたが,それ自体,シリアとイランが,彼らのお気に入りであるレバノンとエズボラの攻撃に異議を唱えなかったからこその結果だ。すべてがつながっているのだ。最も破壊的な連鎖が懸念されている。

中近東では,ブッシュ政権が交渉の場を設ける代わりに『空の貝殻』(*注①)を作りだした:つまり,”カルテット”だ。彼は,アメリカ,ロシア,EU,国連を召集し,イスラエル-パレスチナ間の対話を実現させるふりをしているのだ。カルテットは何の役にも立ちはしない。カルテットが最後に集まったのはいつのことだったかなど,誰が覚えている?メンバーたちは様々な理由から,自ら無力であることを望んだのだ。

ブッシュがホワイトハウスに入って以来,合衆国は自らの『誠実なる仲介者』としての役割を放棄し,イスラエルの政策に---たとえそれがどんなものだとしても---追従している。ロシアは独自の戦略を提示できないし,出来るとしても,それはアメリカ人達の生活を脅かすものでしかない。われわれヨーロッパ人の意見は,政治的存在意義を欠くために耳を傾けてもらえない。金曜日の夜に安全保障委員会で読み上げられた悲壮な宣誓が示すように,国連は無力だ。それは,参加国全員のやる気のなさの反映なのだ。

『パレスチナの好きにはさせない』と,イスラエルの旧外交官は述べる。彼は,アメリカとヨーロッパ,ロシアさえが最終的には協力し合ったバルカン危機のように,国際社会の介入を呼びかけている。我々は,イスラエルとパレスチナを対決させるにまかせた。我々は,パレスチナ自治政府が自己破滅へと傾斜し,イスラエルからの攻撃に屈するのを傍観していた。この無責任の連鎖の果てには,衝突が待っている---我々の愛すべき戦場,レバノンで。

(*注①)貝殻って・・・ふつう空ですよね。ごめんなさい,直訳で。精進します・・・。
* レバノン=イスラエル紛争その2はコチラ → → →

8 Comments

shikahiko  

モーゼがエジプトを出て以来の問題ではあっても、イスラエル建国を言い出す前は、アラブ人もユダヤ人も一応仲良く暮らしていたんだよね。もうそろそろ国家なんて概念をなくしちゃった方が良いとおもうな。そうすれば宗教や民族紛争は残るものの、少なくとも領土や経済摩擦なんてのはなくなるね。争いの原因は少しでも減らそうよ!

2006/07/20 (Thu) 21:08 | EDIT | REPLY |   

ちぇぶ  

難しい問題ですよねぇ・・・いつもこの問題を考える時、まず始めから(歴史から)何回も勉強しなおします(@@;どうすれば解決するのか・・・何世紀になれば解決するのか・・・。

2006/07/21 (Fri) 18:20 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-257 to: shikahikoさん

敏彦さん,こんばんは!

ほんとうに複雑な問題ですよね・・・。
確かに世界が急速に狭くなりつつある今,
『国家という概念をなくす』という提言は,最近よく聞かれますね。
ただ,民族や国家固有の文化や言語(とくにマイノリティーの)が失われないように守ってゆくのも大切だし・・・i-230
うーん,むむむ。。。

それにしても,アメリカは国連の意思をもっと尊重して欲しいです。。。


2006/07/21 (Fri) 23:54 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-77 to: ちぇぶさん

ちぇぶさん,わたしも同感ですi-230
イスラエル-パレスチナ間の憎しみは,歴史をずぅーっとさかのぼって勉強しないと
分からないですものね。
わたしも勉強が足りないです><。

フランスはヨーロッパの中でもユダヤ系とアラブ系が多い国なので,
そういう意味で,とても興味深かったです。

2006/07/21 (Fri) 23:59 | EDIT | REPLY |   

shikahiko  

国境をなくそうという考え方は14世紀のダンテの時代からあったし、
現在のEUの思想的根幹のパン・ヨーロッパ思想は、第1次大戦直後からあったから、
決して最近の考え方ではないんだよね。
それに、国家があるから民族や文化、言語が守られるのではなく、
反対に国家によってマイノリティーが迫害されたりもする。
日本でも、琉球やアイヌの言語を禁止したり根絶やしにしようとしたのは国家だし、
朝鮮半島を占領していた時に朝鮮語を禁止し、
日本語を押し付けたのは日本国家だものね。
イスラエルやパレスティナ国家の建設だって、
国家を作らないと民族のアイデンティティーを守れないと思い込んでしまからだよね。
そうして作られた国家であれば、その中に住む少数民族は、当然のこととして迫害されることになるのではないかな?

2006/07/22 (Sat) 22:22 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-209 to: shikahikoさん

世界地図上の国境線が非常に流動的だった時代に
そんな思想があったなんて。。。
それにしても,敏彦さんは本当に博識ですねi-265

ちなみにEUは,
シェンゲン協定をもってしても
加盟国の『国』という概念を取り払うという発想には拠らず,
あくまで個々の集まりとしての,『共同体』。
また,EUが生まれたそもそもの理由を考えると,
『国家概念を取り払う』という発想とは,似ているようで
実はその本質は異なるのかもしれません。

国家が場合によっては,マイノリティーの存在を脅かす存在になり得る,というのは
本当におっしゃるとおりだと思いました。

バスクやコルシカ,一部のブルターニュの独立運動は
フランス(またはスペイン)国家から独立し,新たな国家を作ることで
自分たちの文化や言語,アイデンティティを守ろうとしている,という意味で
非常に興味深い現象ですね。

2006/07/22 (Sat) 23:31 | EDIT | REPLY |   

modernosaka  

国家が先か、アイデンティティーが先か、

考えさせられますね・・

失礼しました。

2006/07/24 (Mon) 03:41 | EDIT | REPLY |   

ベベピウピウ  

i-77 to: modernosakaさん

わー,modernosakaさんだi-221
いらっしゃいませ☆
こんなところに来てくださって,ありがとうございます><。

ほんとうに,とてもデリケートで複雑な問題ですよね・・・。
わたしも勉強不足なので,精進しますi-257

2006/07/24 (Mon) 23:29 | EDIT | REPLY |   

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